南海フェリーが撤退へ 半世紀の歴史に幕

南海電鉄は30日、子会社の南海フェリー(和歌山市)が運営する和歌山―徳島航路(61㌔)のフェリー事業から、2028年3月末をめどに撤退すると発表した。船舶の老朽化や人員確保の状況次第では時期を早める可能性もある。利用者減少が続き、1975年の設立以来、半世紀にわたり続いてきた海路のインフラが姿を消す。

同社は和歌山・徳島両県の結ぶ重要な交通手段として利用されてきたが、98年の明石海峡大橋開業以降、本州と四国を連絡する主要ルートは陸路へと移行し、利用者は減少。2020年度以降の新型コロナウイルス禍が追い打ちをかけた。

記録が残る1990年度以降の利用のピークは95年度で、旅客数97万人、乗用車18万2000台、貨物車10万9000台だったが、直近の2024年度は旅客数35万7000人、乗用車9万台、貨物車2万5000台に落ち込み、900万円の営業損失を計上。両県などの支援も受け、集客キャンペーンやお得な切符の販売などの対策を続けてきたが、21年度以降は債務超過が続いている。

現在運航しているフェリー2台のうち「かつらぎ」は就航から26年が経過し、船体更新の時期を迎えているが、更新には約40億円が必要と見込まれ、投資は困難と判断。2019年に就航のフェリー「あい」1隻体制での運航継続も検討したが、経営効率の観点から不可能との結論に至った。

同社は撤退発表に当たり、「長年にわたり南海フェリーをご愛顧、ご支援いただき、厚く御礼申し上げる」としている。