「スマート農業」で県内初認定 ヨシムラファーム

和歌山県紀の川市桃山町調月の農業生産法人㈱ヨシムラファーム(吉村英樹代表取締役)が、ロボットやデジタル技術で農業を革新する「スマート農業技術活用促進法」に基づき、農林水産大臣から計画認定を受けた。同法による認定は県内で初めて。近畿では4例目となる。
認定を受けたのは、最新技術を使った農業の生産性の向上を図る「生産方式革新実施計画」。認定を受けた事業者は、機器導入時の税制優遇や金融支援を受けることができ、国が人手不足や高齢化が課題となっている農業を、生産性の高い「稼げる産業」へ変えるために後押しする。
ヨシムラファームは、和歌山市西庄で1967年から浄化槽の維持管理や廃棄物処理、汚泥リサイクルを行う㈱ヴァイオスが親会社。ヴァイオスの社長も務める吉村代表(56)は、独自の微生物処理で、熱を加えず発酵させて作る堆肥「バイオコンポ」を製造してきた。吉村代表はこの堆肥を活用した資源循環型農業を自ら実践しようと志し、2004年にわずか10アール(1反)の土地を購入して農業をスタートした。
白菜やキャベツ、トマトなどを育てながら徐々に規模を拡大し、11年の法人化を機に作物にニンニクを選んだ。ニンニクは堆肥を大量に必要とし、バイオコンポとの相性が極めて良かったためだ。
今回の認定の鍵となったのは、吉村代表が推進する「農業のシステム化」。経験や勘に頼る従来の農法は習得に時間がかかり、過酷な労働が担い手不足を招く要因となってきた。吉村代表は「しんどい作業を機械化し、効率的かつ合理的に進めることが不可欠」とし、自動操舵トラクターを導入。ニンニクの植え付けや収穫を誰もが正確に行える仕組みを整えた。この効率化により、地域の課題である耕作放棄地の解消にも取り組んでいる。同社は現在、紀の川市を中心に、和歌山市、岩出市、紀美野町にまたがる計86カ所、12ヘクタールの広大な農地を経営しているが、その多くは担い手がいなくなった土地。分散した畑を9人の従業員とパートスタッフで維持するため、営農支援システムで全工程をデジタル管理し、無駄を徹底して省いている。
さらに今後は、デジタル管理の精度を上げることで廃棄するニンニクを最大限に減らし、生産量を引き上げていく方針だ。
同社では「ヨシムラファームなら安心だと思ってもらえるよう、地元の信頼を第一に考え、従業員がプライドを持って働ける会社にしていきたい」とし、若手が働きやすい環境づくりにも取り組んでいる。
吉村代表は「機械化やデジタル化は人を置き去りにするためではなく、過酷な作業を減らし、人を大切にするための手段」とし、「人や資源を大切に生かすため、これまで地域を支えてきた農家と共に、データやIT技術を融合させた地域に合う農業システムを確立・共有することで、次世代につなげる農業と暮らしを守っていきたい」と話している。


