関係人口で地域活性化 県と6市町がモデル事業採択

国、県、市町村の担当者らが参加したキックオフミーティング
国、県、市町村の担当者らが参加したキックオフミーティング

人口減少が深刻な地方にあって、居住地以外の特定地域に継続的に関わる人たち「関係人口」が活性化のキーワードとして注目されている。総務省は、関係人口を可視化し、地域の担い手確保につなげる「ふるさと住民登録制度」を2026年度中に本格運用することを目指しており、和歌山県はモデル事業の採択を受けた。取り組みは和歌山市など6市町と連携して行い、5月には内容の本格的な検討作業に着手した。

関係人口は「観光以上移住未満」などと例えられ、関わり方は、副業やワーケーションなどの仕事を絡めたものや、地域の祭りやイベントへの参加、特産品の定期的な購入など、さまざま。

ふるさと住民登録制度は、居住地以外の市区町村や都道府県に関心を持つ国民が専用アプリを通じて登録し、地域情報や地域での活動に役立つサポートを受けられる仕組み。誰でも登録できる「ベーシック登録」と、自治体が設定する担い手活動の実施や一定の滞在日数などの要件を満たした人が登録可能な「プレミアム登録」の2種類が設けられている。

県のモデル事業は「広域型」で、県と和歌山、田辺両市、かつらぎ、高野、白浜、すさみ各町の計6市町が連携して取り組む。県は5月22日、和歌山市の県民文化会館でキックオフミーティングを開き、総務省やモデル事業の運営受託者、伴走支援者、6市町をはじめ県内各市町村の担当者らが参加した。

総務省ふるさと住民登録制度推進室の担当者は、制度の概要や、10月ごろの登録開始を予定している試用版アプリを使って事業の実証を行うことなどを説明。県地域振興課の担当者は、検討すべき事項として、担い手活動や長期滞在者の定義、プレミアム登録者向けのサポート施策やその原資の確保、アプリの運用方法などを挙げた。

県側の運用イメージとしては、県が運営する関係人口創出促進プラットフォーム「わかやまFUNBASE」とアプリを相互連携させ、わかやまFUNBASEに掲載した活動への参加を県として担い手活動要件の基本とすること、各市町村の担い手活動は自動的に県の担い手活動にもすることなどを想定している。

ミーティングでは、関係人口創出の事業を行っている瀬戸内ワークス㈱(香川県三豊市)の原田佳南子代表取締役が講演。三豊市で実施してきた、地元民なら誰もが知っていることを来訪者が学び、地域を深く楽しんでもらうサービスの構築、シェアハウスの運営といった取り組みを紹介しながら、「地域が大切にしてきたこと、考えを自分たちの言葉で言語化すること」、「関係人口が増えると、どんないい未来がやって来るのかを想像すること」などをポイントに挙げた。

さらに、関係人口の取り組みを評価する上で、「人数」ではなく、どんな「関係性」が生まれたかが大切な指標だとし、「関係人口施策とは、人を呼ぶ政策ではなく、地域と人が関係を育て続けるための土壌づくりだ」と強調。行政が主役になり過ぎず、住民を含めた地域全体で担う重要性を指摘した。

県とモデル事業参加市町村は検討会を設置し、月2回以上の定期的な会議を通じて、市町村の実情に応じた運用の在り方などを議論していく。

県地域振興課の宗野孝信課長は「たくさんの地域課題があるが、見方を変えれば交流の機会や資源でもあると思う。モデル事業を通して県内外の方々と広くつながり、和歌山への共感を育てられるよう取り組んでいきたい」と話した。