海外から展示依頼続々 六十谷の木版画家

 和歌山市六十谷の木版画家・尾﨑斎晃(よしあき)さん(76)の作品 「村はずれ」 が海外で引っ張りだこになっている。 展示依頼が続々寄せられている他、 アートタイルなどで永久収蔵される人気ぶり。 尾﨑さん自身も 「フランス芸術最高勲章」 など、 ことしすでに5つの大きな賞を得ており、「僕自身面食らってます」 と笑顔で話している。

  「村はずれ」 は、 1本の大木に守られるように建つ小さな社を描いた作品。 昨年10月、 イタリア・ローマのフォリインペリアーリ博物館で展示され館長賞を受賞した。

 また、 ある美術雑誌で同作品を見たハワイ大学総長が 「移民の1世や2世が苦労したころの村の姿だ。 ぜひ大学に」 と依頼。 タペストリーとなって同大学に永久収蔵された。
 ことし5月には 「チンギス・ハーン生誕850年記念祭」 で 「和の宝珠美術館」 にアートタイルとして永久収蔵され、 同国の美術教科書にも掲載された。

 さらに作品そのものが、 ことし春の 「日本・ドイツ国交150周年サクラ特別記念展」 (京都)を皮切りに、 9月はセルビア・ベオグラードの美術館、 10月は中国・北京と青島の博物館、 12月はフランス・パリ市立モンパルナス美術館とジャパンエキスポを回る。

 人気の理由を尾﨑さんは 「日本の優しい風景への共感があるようです」 と話す。

 尾﨑さんの受賞ラッシュは海外初出品した2年前のイタリアとポルトガルから始まっている。 以来西欧の批評家や画廊主の評価が高く、 その注目ぶりは日本の版画家では棟方志功以来という。

 さらにことし3月、 中国書法研究院客員教授に認定され、 7月は米国・ニューヨークのギャラリーにも出展する。

 作品は全て白と黒。 尾﨑さんは 「版画は白黒に始まり白黒に終わる。 白黒のコントラストの中で、 見る人が自由に色を感じてくれたらうれしい。 これからも昔の日本の風景を残していきます」 と話している。

 ことしの主な受賞は次の通り。

 フランス芸術最高勲章▽日本美術評論家大賞▽国際画廊連盟選考 「パリ画廊連盟 金獅子大賞」 ▽ベストアーティストグランプリ▽第36回國美藝術展 「銀獅子賞」