ユッケ出す? ハードル高い生肉新基準
焼き肉チェーン店 「焼肉酒家えびす」 の集団食中毒事件を受け、 厚労省が今月施行した生食用牛肉の取り扱いに関する新基準。 生食用牛肉を扱うには専用設備が必要になるなど、 ハードルは高い。 和歌山市内の人気焼肉店でも今後、 生食用牛肉の定番メニュー 「ユッケ」 を取り扱うかどうか頭を悩ませているようだ。
焼肉店 「炭火焼肉玲王」 (同市小雑賀)などは同事件以降、 メニューからユッケを外した。 「みしま」 (同市新和歌浦) は 「お客さんにファンが多い」 としてユッケをメニューに戻そうと検討しているが、 「設備に費用がかかってしまうなら断念せざるを得ない」 と、 コストによっては厳しそうだ。
新基準では、 加工や調理は専用の設備、 器具で行う▽肉の表面から深さ1㌢以上の部分までを60度で2分以上加熱する▽加工や調理は安全性確保に必要な知識を習得した者が行うなどを定めている。 違反した場合、 悪質であれば営業禁止や2年以下の懲役、 200万円以下の罰金となる。
ユッケが人気メニューだった焼肉店 「焼肉公園」 (同市岩橋) の関係者は 「個人店では板前が全て調理し、 一番安全なところを出せるよう徹底しているはず。 国の基準通りにして、 ユッケとして使えない加熱した部分の肉は国が買い取るなど保証してくれるのか。 赤字のもとになる」 と話している。
市保健所の同事件以降の調査によると、 市内で牛肉のユッケを扱っていたのは焼肉店15軒、 居酒屋4軒、 焼き鳥店2軒。 新基準が施行され、 同保健所は 「市内は個人店も多く、 小さい店だと施設の増設は難しいのでは」 と話している。
同保健所は新基準についての説明会のちらしを市内の飲食店など約1400軒へ送付、 4日の説明会には約90人が参加した。
13日には 「生食用食肉取扱い認定者の講習会」 を予定しており、 12日現在21人の申し込みがあるという。