県都で舌戦 野田VS安倍
2大政党の党首が県都で舌戦。 衆院選序盤戦の5、 6日、 民主党の野田佳彦首相と自民党の安倍晋三総裁が相次いで和歌山市入りし、 JR和歌山駅前で街頭演説を行った。 激戦の和歌山1区での議席獲得を目指すとともに、 政権への強い意欲をにじませる両党首の訴えに、 多くの有権者が聴き入り、 駅前は熱気に包まれた。
政権交代の成果進める 野田首相
野田首相は5日午後4時半過ぎから演説し、 沿道には約2000人 (主催者発表) が詰め掛けた。
野田首相は政権交代の成果として特に子育て支援を挙げた。 子どもへの手当を政権交代前の2・3倍に拡充し、 高校の授業料無償化で経済的理由による中退者が半減したとし、 「子ども、 若者は日本の宝。 そこをしっかりとサポートしていく政治に間違いはない」 と強調した。
消費増税については、 増大する社会保障費の対策がこれまで先送りされてきたとし、 「生まれてくる将来の世代が負担を強いられ、 一番の弱者になる国に未来はない。 だから社会保障は皆で負担する。 それは消費税だとお願いしている」 と理解を求めた。
1区に公認候補を立てている他党との違いもアピール。 エネルギー政策では 「2030年代に原発可動ゼロを目指す。 自民党は10年間立ち止まって考えるそうだが、 それで再生可能エネルギーの普及ができるか。 結局原発に依存するだけ。 それは続原発だ」 と批判した。
日本維新の会が最低賃金制度の見直しを打ち出していることに対しては、 「最低賃金をなくしたらワーキングプアが生まれるだけ。 そんな市場原理主義の社会に戻してはいけない。 バラマキでなく種まきの経済政策を行い、 雇用をつくり、 賃金を上げていく」 と述べた。
新次元の脱デフレ政策 安倍総裁
安倍総裁は6日午前9時半から演説、 1800人 (主催者発表) が集まった。
デフレ脱却実現に向けた政策について 「これまでの自民党の政策とは違う次元の政策」 とし、 ①金融政策②財政政策③経済成長戦略の3本柱を提示。 金融政策では、 2%の物価上昇率目標について日本銀行と協定を結ぶとし 「ハイパーインフレになるという専門家もいるが、 インフレ政策でハイパーインフレになった世界の国はない」 と強く断言した。
経済政策では、 公共事業に200兆円を投資する国土強靱 (きょうじん) 化政策を含めた公共事業強化を訴え、 「公共事業で民間投資を引き出す。 日本だけが 『無駄な公共事業』 とのレッテルを貼っている」 と公共事業縮小論を批判。 財源については 「かつて日本は世界銀行から借金をして新幹線などを造った」 とし、 国債でまかなう正当性を主張した。
成長戦略については 「iPS細胞など再生医療の薬開発が遅れているのは行政機関に問題がある」 などとして、 先端分野の研究を推進することを誓った。 領土問題にも言及し、 「竹島や北方領土の外国首脳上陸、 尖閣諸島の中国船領海侵犯など自民党時代にはなかった」 として強い外交力をアピール。 また 「2020年までに全ての分野で首脳層の約3割が女性になる社会にする」 と訴えた。