日本との架け橋に ブラジル和歌山県人会連合会②

 前回に続き新春特集として、 ブラジル和歌山県人会連合会木原会長と竹中平蔵慶大教授の対話についてお伝えする。
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 県人会には日本の正月を体感したいという青少年がいるので、 和歌山県内にある国際交流協会の協力により、 日本の一般家庭へのホームステイを4年連続で実施している。 参加できるのはわずか2人。 四世の時代で日本語がたどたどしく不安な気持ちがある中で、 日本へ行きたいという気持ちが勝り、 希望者が大勢で狭き門であるという。

 若者の注目が熱い日本。 移民して半世紀がたつ木原会長にとって、今の日本はどう映るのか。 1960年初頭、 ブラジリア近郊は砂利道で家はブラック造りだった。 それが今や街にはビルが建ち並び、たいへんな発展を遂げた。 それは日本の高度成長と同じ。 しかし、ブラジルでは、治安の悪さ、 地域の貧富の格差が顕著だが、 日本は恵まれ、 豊かな国だと感じるという。

 木原会長が危惧(きぐ)するのは、 故郷和歌山県の人口減少。 木原会長は故郷を離れたことで故郷のよさが見えた。 日本、 和歌山県の若者たちにも、 ブラジルの若者のように世界への関心を持って、 広く物事を見て、 感じてほしい。

 2014年は県人会創設60周年、 FIFAワールドカップ、 そして2016年にはリオデジャネイロオリンピックの開催を控えている。 木原会長は 「ブラジルは価値観が変わる国。 もっとブラジルに興味を持ってもらえるように頑張りたい」、 竹中教授は 「日本とブラジルの架け橋になってください」 と話し、 固い握手を交わした。
    (聞き手・神野翔/サンパウロ)