海底からゆっくり出現 海南で浮上式防波堤テスト

 海南市船尾の和歌山下津港で行われている世界初の浮上式防波堤工事で、 試験用鋼管3本の設置が完了し、 和歌山港湾事務所が28日、 動作試験を公開した。

 スイッチが入れられると数分後、 静かだった海面に突如、 直径約3㍍の鋼管3本が並んで顔を出した。 その後は3分ほどかけて音も立てずゆっくりと海面6・5㍍の高さまで上昇した。

 同事務所によると、 海底収納時から浮上完了までに7分30秒かかった。 管は浮力で上昇する仕組みで、 この日は約40立方㍍の空気を管に送り込んだ。

 浮上試験が終わると、 防波堤はまたゆっくりと海底に沈んでいった。 今後4月中旬まで動作試験が続けられる。

 試験成功を受けて、 同事務所は 「昨年発表された南海トラフ大地震の津波想定なども含めて事業の進め方を検討していく」 と話している。