和歌山県名匠に海南の塗師・谷岡さん
伝統ある工芸品や生活用品の制作技能などを保持する優れた技術者に贈られる平成25年度「県名匠表彰」に、海南市岡田の漆塗師・谷岡敏史さん(75)が選ばれた。
谷岡さんは漆塗師の家系に生まれ、昭和28年、15歳の時に父の下で修業を始め、谷岡漆芸店の4代目となった。約400年の歴史を持つ紀州漆器の塗り部門で伝統技術の習得とともに新たな塗りの手法にも励み、自ら開発した「瑞雲(ずいうん)塗り」は、中塗りの段階で数種類の色漆を使用して塗り上げ、雲に見えるように研ぎ出すのを特徴とする。
全国漆器展で日本経済新聞社長賞、県知事賞2度を受賞し、平成7年度に伝統工芸士に認定。伝統的工芸品産業功労者等経済産業大臣表彰、瑞宝単光章を受けている。
後進の指導育成、見学の受け入れや体験教室など、紀州漆器の普及と発展に努め、同23年5月から紀州漆器伝統工芸士会会長を務めている。
表彰式は21日に県庁で行われる。