持続可能なまちへ 加太で調査始まる

 「スマートコミュニティ化」による持続可能なまちづくりの可能性を検証する調査事業が、和歌山市加太地区で始まった。出発式を兼ねたシンポジウムが28日、市内のホテルで開かれ、地元企業、住民、行政関係者ら約70人が事業の目指す加太の将来像について理解を深めた。調査結果は来年3月に報告される予定。

 事業は、バイエル・マテリアルサイエンス㈱(本社・東京)が企画運営する「エコ・コマーシャルビル(ECB)プログラム」がコーディネーターとなり、協賛企業など16団体の協力と経済産業省「平成26年度スマートコミュニティ構想普及支援事業費補助金」を受けて行う。

 地域の実情に即したかたちでスマートコミュニティの構築を進めていくために必要となる「事業化可能性調査」と、そのベースとなる「地区再開発事業計画」の策定を来年3月初旬をめどに行い、成果は文書で近畿経済産業局、県、市、地元連合自治会などに報告する。

 シンポジウムでは、和歌山社会経済研究所の木下雅夫氏、同局の丸山力氏、東京大学生産技術研究所の原裕介氏の3人が加太の現状や可能性、スマートコミュニティ活動の意義などについて基調講演。

 その後、加太地区連合自治会の尾家賢司会長、加太活性化協議会の利光伸彦事務局長を交えてパネルディスカッションを行い、地域一丸へ合意形成を図るためのアイデアなどを語り合った。

 プログラムリーダーの佐瀬得三氏は、「活力に満ち、そこに暮らす人々にとって安心安全な加太のまちの未来像を皆さんと一緒に描きたい」。地元の取りまとめ役、和歌山自然エネルギー発電㈱の木村浩造氏は「加太が全国から人が訪れる魅力的なまちになれば、市、県も良くなる。合意形成を一生懸命やって、皆さんと一緒に進めていきたい」と語った。
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 【スマートコミュニティ】太陽光、風力など、再生可能エネルギー発電設備の整備を促進し、情報通信技術(ICT)の活用により、家庭、工場、交通インフラなど、社会全体でエネルギーを効率的に利用する持続可能な都市。賢くエネルギーを使う地域社会。