映画『熊野から』完成 監督らPR

 熊野地方を舞台にしたセミドキュメンタリー映画『熊野から~熊野のリアルを駆け抜けろ!~』(90分)が完成し、同作の田中千世子監督と主演の海部剛史が19日、県庁で記者発表を行った。田中監督は「映画の方針『熊野は行くところじゃない、呼ばれるところなんだ』を見る人に訴えたい。もっともっと熊野の奥へ誘い込まれてほしい」とPRした。

 映画は、俳優・旅行エッセイストとして本人役で出演する海部が、雑誌社の依頼を受けて熊野三山を訪れる物語。自然と寺社仏閣、熊野本宮大社の湯登神事をはじめとした伝統的祭事が映し出される。

 製作のきっかけは田中監督が平成21年ごろ、自転車で紀伊半島の半分を走った際、本宮大社への道などの風景に出合ったこと。阿須賀神社(新宮市)の宮司に話を聞いたことを原動力に製作開始し、主な撮影を平成25年3~6月、追加撮影を秋に行った。

 今作で長編映画7本目になる田中監督は「熊野という土地の空気、人々の醸し出す独特の魅力とか力によって、セミドキュメンタリーというちょっと不思議な映画になった」。海部は「実際に熊野に行って景色を見るように映画を見てもらいたい」と語った。

 出演はその他、伊勢谷能宣、伊藤公一、雨蘭咲木子。9月6~12日にジストシネマ南紀(同市)で先行上映した後、20日からシネ・ヌーヴォ(大阪市)、同月下旬からシアター・イメージフォーラム(東京)などで順次公開する。

 田中千世子(ちせこ) 昭和24年山梨県生まれ。映画評論家としてキネマ旬報などで執筆。映画監督として『能楽師』『海と自転車と天橋立』などを製作。現在、『熊野から』続編を撮影している。

 海部剛史(かいべつよし) 昭和44年大阪府生まれ。テレビドラマ「芋たこなんきん」「救命病棟24時」などの他、CM、舞台に出演。田中監督のドキュメンタリー映画『能楽師 伝承』では熊野を旅する自身を演じた。