災害時の飲料水確保へ 秋葉山に浄水機

 大規模災害に備えて必要な飲料水を確保しようと、和歌山市秋葉町の秋葉山公園県民水泳場ではプールの水をろ過し、飲料用に変える浄水機を導入。1日に市内で行われた総合防災訓練で、同施設に避難してきた地域住民を対象に、初めて浄化のデモンストレーションを行った。

 浄水機は、同施設の指定管理者として運営を担うTSAグループ(村田弘至代表)が導入した。

 逆浸透膜を使った浄水システム。ポンプで水を吸い上げ、内蔵された、目の細かいRO膜を通すことで大腸菌や病原体、発がん物質などの有害物質を取り除き、安全な水につくり変える。1分間に1・7㍑、24時間で2・4㌧の水を浄化。飲用としての水質基準を満たしているという。

 災害時、1人が一日に必要な飲料水量は約3㍑とされていることから、一日に800人分の飲み水が確保できる計算になる。

 停電も想定し、発電機もセットされている。

 同施設の屋内外にあるプールの総水量は約5000㌧で、災害発生後しばらくはしのぐことができると見込んでいる。

 秋葉山公園地域は、大規模地震による津波発生時の高台として避難場所に指定されており、TSAグループは地域住民の避難場所として受け入れ体制を整えている。

 ただ、同公園は市が管轄。公園内にあるプールは県の管轄となるため、今後は地元自治会の協力を得ながら、県や市との防災協定締結なども視野に、話し合いを進めていきたいという。

 この日は秋葉町や西浜、塩屋から約200人の住民が避難し、屋外プールの水を浄化した水を試飲。住民は「普通の水と変わりなく、おいしい」「プールの水とは思えない」と驚いていた。

 雑賀地区連合自治会の田又幸三会長(83)は「災害で断水した際には水の確保が心配だが、ここは申し分ない施設。
このプールも避難場所になるよう、市とも話し合いを進めていきたい」、TSAグループの村田代表(50)は「施設内には、備蓄倉庫も設置されています。いざという時に災害時の防災拠点となるよう、民間で管理しているこの施設を有効に活用できれば」と話していた。

浄化された水を試飲する住民

浄化された水を試飲する住民