地域外の目線取り込む 都市・農村シンポ
都市と農村が共生する社会を考えるシンポジウムが24日、和歌山市の県自治会館で開かれ、和歌山大学観光学部長の藤田武弘氏が講演。若者を中心とした都市住民の農村志向が高まるいま、地域の外からの目線、人を意識的に取り込むことが農村活性化につながると話した。
県町村会(会長=小出隆道上富田町長)の設立100周年記念事業の一環で、町村長、自治体関係者ら約120人が参加。藤田氏は「『田園回帰』時代における都市農村交流の意義」と題して基調講演した。
藤田氏は、都市住民の農村への「まなざし」が、憩い、癒やし、学びの宝庫といったふうに変化してきていること、農村側も都市住民を受け入れる方向に思考が変わってきていることを各種データを交えて説明。
農村活性化に向けては、「地域に危機感がまん延している時代。大元に何があるのか、感覚的に焦らされるのではなく、ちゃんと分析することが必要」とし、分析する目線や指標については「地域の人だからこそ見えないものがある。外からの人たちの目を借りることで、より科学的な現状分析ができる。大学、若者、地域おこし協力隊といった人々を地域は大いに活用すべき」と呼び掛けた。
また、いま吹いている「田園回帰」の風を、地域が上手に自分たちの味方に取り込んでいく姿勢の大切さを語り、「消費者や都市住民と共生しながら、農業農村の価値を互いに理解し合う。そういう味方をこれから農村にどれだけつくっていくのか。今後の農村再生、都市と農村の交流の大きなポイントになる」と話した。
講演後は藤田氏、寺本光嘉紀美野町長ら5人によるパネルディスカッション「めざすべき農村のすがたとは~人口減少社会の中での農村のあり方~」もあった。