農地転用防ぐ政策を撤回 議会の反発で県
仁坂吉伸知事は9日の県議会本会議で、昨年夏に始めた政策「守ります、まちと優良農地」を撤回した。市街地の拡大や優良農地が虫食い状に転用されるのを防ぐため、「優良農地の転用は原則認めない」と厳格化した政策だが、今県議会でも「宅地に転用できなければ人口流出が加速する」「農家の利益の侵害につながる」などの議論があった。
仁坂知事は「県議会の議論を踏まえて撤回する。計画的なまちづくりと、次代の農業のための優良農地の保全は重要なので、代わるものとして次のような希望の表明を行う」とし、①それぞれの業務に従事する各地農業委員会及び市町村当局は、あらためて法の趣旨に照らして、その運用を行なってもらいたい②特に市街化調整区域内の農地転用については、法の趣旨に照らして細心の注意をもって行ってもらいたい③市町村当局は、旧市街地の改造のために代替地を必要とする場合、津波避難対策としての高台への移転誘導として適地を必要とする場合等、都市計画法の用途地域の利用によって、優良農地を含む一団の地域をこれに充てることができることを想起してもらいたい④これから人口減少下でまちづくりを担っていかなければならない市町村当局は、いままで以上に都市計画の手法を利用して計画的にこれを行なってもらいたい――ことの4点を表明した。
県が行うべき業務については迅速に処理するとした。仁坂知事が「議会の質疑を通じて議員諸氏には有意義な議論を展開され、指導いただいたことを心からお礼申し上げる」と述べると、議場から拍手が起こった。