信金ネットの観光客増 27年度実績7500人
全国の信用金庫ネットワークを活用した県内への観光誘客が拡大している。きのくに信金(本店=和歌山市本町、田谷節朗理事長)は、県や新宮信金と連携して地域活性化を図る「オールわかやま」を立ち上げて7年。信金のツアーによる平成27年度の来県者数は、26年度までの5年間の合計の半数以上に達するまで伸びている。
きのくに信金は21年3月、県と地域活性化の連携協力に関する協定を結び、新宮信金を含む3者で「オールわかやま」を発足。閑散期の旅行客誘致やリピーターの確保などを目指し、地域活性化に取り組んでいる。
全国267信金のネットワークを活用し、各信金が年金受給者などを対象に企画するツアーの行き先に和歌山を提案してもらうため、これまでに全国の信金への訪問PRや、信金職員を招いた下見旅行などの企画を実施してきた。
26年度までの5年間の実績は、全国41信金のツアーで来県者約1万4000人だったが、本年度は19信金から約7500人を見込んでおり、本年度だけで5年間の来県者数の半数を超えている。
今月8日、海南市藤白の酒造会社、㈱中野BCをツアー客が訪問し、きのくに信金の職員7人が一行を歓迎。豊田信金(愛知県)が年金受給者向けに企画した1泊2日のバスツアー「とよしんまごころツアー」の一環で、1月13日から3月15日にかけて、約3000人が21班に分かれて来県した。
8、9日には17班目の約160人が訪れ、初日の8日、黒潮市場(和歌山市毛見、和歌山マリーナシティ内)で昼食を済ませた一行が中野BCへ。きのくに信金の職員は、同社の玄関口に法被姿で並び、「ようこそ和歌山へ!!」と記した横断幕を手に笑顔で出迎えた。
来年度もすでに、広島信金、東京シティ信金、神戸信金など6信金が旅行先に和歌山を提案している。九度山ゆかりの戦国武将・真田幸村が主人公のNHK大河ドラマ「真田丸」を中心に誘客し、3000人以上が来県する見込み。
きのくに信金の小山敦美常務理事は「来県されるお客さまには、和歌山の名所や食べ物を心おきなく楽しんでもらいたい」と期待し、「心に残る旅行にすることで、リピーターを増やしていければ。今後も新しいおもてなしを考えていきたい」と展望を話していた。