吉宗と紀州の明君 将軍就任300年特別展
徳川吉宗の8代将軍就任300年を記念した特別陳列「徳川吉宗と紀州の明君」が、和歌山市湊本町の市立博物館で開かれている。5月29日まで。吉宗に加え、明君と呼ばれた初代藩主の頼宣(よりのぶ)や9代藩主の治貞(はるさだ)に関する資料を併せて紹介。同館の佐藤顕学芸員は「就任300年の節目に、あらためて吉宗という偉大な人物を生んだ紀州藩の歴史に注目してもらえれば」と話している。
びょうぶや絵巻、古文書など、初公開約50点を含む117点を紹介(期間内に一部展示替えあり)。
「明君」とは「天意人望」に迎えられた君主と江戸時代に認識されていた為政者を指す。同館によると、紀州徳川家で明君とされ、伝記(明君録)が著されているのは初代頼宣、5代吉宗、9代治貞の3人という。
藩主となる前の吉宗(当時は頼方)が描いたと伝わる「鳩図」は、兄で4代藩主の頼職(よりもと)との合作で、直筆の貴重な資料。市の指定文化財「赤坂御庭図画帖」には、紀州藩江戸中屋敷の庭園の馬場で、吉宗が再興したとされる古式馬術の打毬(だきゅう)を楽しむ姿が生き生きと描かれている。
この他、吉宗を支えた紀州藩の家老との関係を伝える書物や、吉宗直筆の書状なども並ぶ。
将軍就任以降のものでは、江戸城大広間で行われた将軍宣下の様子を描いた書物、吉宗の命で桜が植樹され、庶民の行楽地となった飛鳥山を描いた『江戸名所図会』、吉宗を「明君」とたたえた明君録(伝記)を紹介。
吉宗の祖父に当たる頼宣のコーナーでは、頼宣や家臣団に関する資料を並べ、吉宗へとつながる紀州藩の歴史を伝えている。
24日午後2時から、同館2階で関西大学の小倉宗准教授による特別講演会「将軍徳川吉宗の改革政治」がある。先着100人。
また、5月14日午後2時からは、佐藤学芸員による講演会「紀州藩の明君」を開催。5月28日午後1時からは展示解説がある。
問い合わせは同館(℡073・423・0003)。