伊勢路旅⑯三重県北牟婁郡紀北町(3)
前号では三重県紀北町の旧・紀伊長島区にある紀勢道紀北パーキングエリアについて取り上げた。今週は旧・紀伊長島地区の魅力をかつてから発信し続けている、「道の駅紀伊長島マンボウ」を紹介したい。
「道の駅紀伊長島マンボウ」は、紀北町の臨海部で整備が進められている熊野灘臨海公園内に位置する道の駅。国道42号に面し、紀勢道紀伊長島ICからも程近い。
熊野古道の「荷坂峠(にさかとうげ)」にも近く、ウオーキングの拠点としての利用者も多い。荷坂峠は伊勢国と紀伊国の境に位置する峠として、徳川頼宣公が紀州藩の初代藩主に着任した際、紀州への玄関口として整備。かつては、西寄りにある「ツヅラト峠」がその役割を成していたが、つづら折りの急な峠道であることから、「荷物を担いでも越えられる坂道」という意を込めて荷坂峠と名付けられたという。勾配がゆるく道幅も広いことから古道歩きの初心者にも歩きやすい。
道の駅の特徴は、何といってもマンボウを食べられるということ。マンボウといえば水族館でのんびりと泳ぐ姿が思い浮かぶが、実は食用魚でもある。熊野灘で行われる定置網漁で、12月から4月ごろに取れるという。レストランではマンボウを使ったフライなどの料理が提供され、日曜には屋台でマンボウの串焼きを購入できる。土産品コーナーではマンボウの切り身が販売されるなど、マンボウづくし。
気になるお味は、ごく普通の白身魚と大差はないが、若干の弾力がある感じ。串焼きでは塩コショウが効き、鶏のササミのような味を楽しめる。
水族館で見る姿が脳裏に浮かび複雑な気もするが、地域のまちおこしを願う地元の郷土料理として親しまれている。東紀州の珍味、マンボウをご賞味あれ。
(次田尚弘/紀北町)