不登校など支援活動20年 レインボーハウス

不登校の子どもや引きこもりの青年、その家族らを支援している和歌山市弘西のNPO法人レインボーハウス(林堂自代代表理事)が活動を開始して、ことしで20周年を迎える。「いつでもSOSを受け止められる場所の存在が、地域の安心感につながる」と土井広行施設長(41)は話し、さらなる活動の充実を目指している。

レインボーハウスは、「登校拒否の子どもを持つ和歌山市親の会(現=登校拒否・ひきこもりの子ども・青年を持つ和歌山市親の会)」の親たちから「子どもが行きたい時に行ける『居場所』がほしい」との声が上がり、平成8年秋から開設準備が始まり、平成9年4月に待望の開所を迎えた。

不登校の子どもや引きこもりがちな青年が自由に過ごせ、家族同士が交流できる施設であり、社会福祉士と精神保健福祉士の資格を持つ土井施設長が水・日曜と祝日以外は常駐し、電話やメールなどでの相談にも応じている。

文部科学省の平成26年度「学校基本調査速報」によると、県内の小中学生の不登校率は悪化傾向にあり、在学者に占める不登校による長期欠席者の割合は、小学生が全国ワーストの0・53%、中学生はワースト3の3・21%となっている。

土井施設長は、不登校・引きこもりについて、子どもが自分の意見や感情を出さず「いい子」に見られるように振る舞ってきたことでエネルギーを使い果たし、周囲との関係を一度絶って「自分」を保とうとする人間本来の防衛機能が作動しているものと考えている。

これまで同施設に通った子ども・青年延べ1万5500人に、土井さんは不登校・引きこもりの理由を尋ねたことはない。出会った人は皆、何とかしようと一生懸命に頑張っているのにうまくいかない状況に悩んでいる。それを「周囲の求めに応じて生きてきたことに疲れている」と感じる土井さんは、同施設は学校に行けるようになったり働けるようになったりする場所ではなく、「自分の人生を自分で決めることを大事にしている場所」と話す。

スタッフの大西博子さん(58)は、2人の子どもが不登校を経験した。保護者同士の交流により、「学校に行かない」「行事に参加しない」などの一見、消極的に思える子どもの選択も理解し合える場があったことで、「親が孤軍奮闘しないでやってこられました。これからもつらかった経験を忘れず、子どもに向き合うため、ずっと交流会に関わっています」と話している。

同施設は、不登校・引きこもりの子どもを持つ保護者が、地域や勤務先などで無理解な言動に傷ついたり、現状を隠したりしている状況があることから、出張相談や企業の研修などに無料でスタッフを派遣するサービスも始めている。

増え続ける不登校・引きこもりに対しては、「怠けている、何もしていないように見える人も実は考えているんだと、多くの人の視点が少し変わるだけで地域が『居場所』になります」と土井施設長は強調する。

問い合わせは同施設(℡073・462・3060、メールrainbowh@naxnet.or.jp)、または事務局の大西さん(℡090・5124・7925)へ。

土井施設長㊨とスタッフの大西さん

土井施設長㊨とスタッフの大西さん