桐蔭に院展入選作を寄贈 日本画家髙幤さん
和歌山市出身で、日本美術院院友の日本画家・髙幤(たかへい)佳代さん(59)=札幌市=の日本画の大作が9日、母校の桐蔭高校に寄贈され、体育館1階にある武道場の入り口正面に掲げられた。
作品は208㌢×168㌢)の大作「調べ流れる彼方へ」。髙幤さんが小樽オルゴール堂で聴いたムーンリバーの音色に思いを寄せて生まれた作品で、「再興第100回院展」の入選作。
灰色の色彩でアンティークオルゴールが描かれ、そこから流れる曲の歌詞に膨らむ希望を、若い舞台女優が自ら信じた道を歩もうとする姿に重ねて表現されている。髙幤さんは日本美術院同人の清水達三さんに師事。平成4年の院展初入選以来、高い評価を受けている。
同高の岸田正幸校長と髙幤さんは桐蔭高校の同級生。寄贈の思いを聞いた岸田校長が、10月に和歌山市内で開かれた髙幤さんの個展に足を運び、展示されていたこの絵に感銘を受けたという。岸田校長は「舞台役者の前向きで力強い意志を感じ、本校にぴったりだと思った」と話す。
贈呈式では、生徒会や美術部、剣道部、柔道部員ら約50人が見守る中、髙幤さんが生徒と一緒に除幕した。
生徒会長で1年生の津村風歌さんは「落ち着いた色調の絵を見ていると心が穏やかになります。この舞台俳優のように、私たちも前を向いて進んでいきたいです」と感謝。
卒業以来、初めて母校を訪れたという髙幤さんは「飾っていただき、うれしいの一言に尽きます。絵を見た方それぞれが自由に感じていただければ」と話していた。