聴覚障害者の避難 ろう学校とJR初訓練
JR和歌山駅(和歌山市美園町)は16日、県立和歌山ろう学校(同市砂山南、島田健司校長)との初めての合同避難訓練を同駅で行い、聴覚障害者のスムーズな避難の在り方を検証した。
同駅ではこれまでも、災害を想定した避難訓練を実施してきたが、今回は聴覚障害者への情報伝達や避難誘導について実践的に検証するため、初の合同訓練が実現。同校小学部と中学部の児童生徒、JRの社員ら約70人が参加した。
南海地震の発生により大津波警報が発令されたという想定で、電車内と駅構内の2パターンの避難訓練を実践した。
電車内の訓練は、児童生徒と乗客役の社員が乗った電車が急停止し、ホームに半分しか収まっていない状況からスタート。乗務員は駅員と安全確認を行いながら大きな声で乗客に状況を報告。スケッチブックに「落ち着いてください」「列に並んで避難してください」と書いて児童生徒に見せ、電車の外へ誘導した。
駅構内の訓練は、一般の利用者もいて、アナウンスや雑踏の音などで電車内より騒がしい場所での実施となった。
児童生徒はアナウンスや誘導の声を聞き取ろうとし、分かったことを他の生徒らにも手話で伝えながら、駅員の後ろに並んで避難場所へと向かった。
同駅の金丸親司副駅長は「初めてのことで不安だったが、社員は字や大きな声で伝達できていた。災害時にも実践できるようにしたい。今回の訓練で出た課題は、ろう学校と共に考えていきたい」と振り返った。
中学部2年の稲葉清悟君は「駅では他にも話し声が聞こえるので、駅員さんの声を聞き取るのが大変だった。必要なアナウンスをしっかり聞くことが大事だと思った」と話した。