観光や起業で連携を イスラエル大使が来県
イスラエルのルツ・カハノフ駐日大使一行が23日から25日まで県内を訪れ、観光地や企業などを視察した。県は昨年度から観光や起業支援の分野で同国との関係構築に乗り出しており、県の取り組みを知ったカハノフ大使側からの希望で来県が実現した。24日には、大使一行は和歌山市有本のプリント基板製造メーカー、太洋工業㈱を視察し、同市内のレストランで仁坂吉伸知事主催の昼食懇談会に出席した。
イスラエルは中東の地中海沿岸に位置し、シリアやエジプトなどと隣接している。県内での起業促進に力を入れる県は、「中東のシリコンバレー」と呼ばれるほど起業が盛んなイスラエルに注目。関係構築に向け、昨年度は同国で開かれた日本食フェアや旅行博覧会に職員を派遣し、PRした。同フェアで県産品の梅酒やサンショウが紹介される場面を取り上げたテレビ番組を視聴したカハノフ大使から県内訪問の打診があった。今月上旬には、インテックス大阪(大阪市)で開かれた国内最大級の農業見本市「関西農業ワールド2017」にイスラエル企業7社が出展。県職員も訪れ、商談の様子を視察した。
来県したのは、カハノフ大使とノア・アッシャー経済公使、同国西日本イスラエル貿易事務所の原田健所長の3人。初日の23日は高野山を訪問し、24日に和歌山市に移動した。視察先となった太洋工業は、イスラエルのメーカー「オルボテック」製の検査器と露光機を10年以上前から使用しており、県の紹介で訪問が決定した。
同社を訪れた一行は、細江美則社長や田中清孝電子部品部長と歓談し、工場を見学。カハノフ大使は平成26年に両国が「産業P&D協力に関する覚書」を締結したことを紹介し、「日本からイスラエルに進出する企業が増えている。今後は大阪や東京以外でも両国企業のマッチングイベントを開きたい」と意欲を示し、細江社長は「医療関係の機器に強い関心を持っている。ぜひ情報を頂きたい」と話していた。
視察終了後、一行は同市内のレストランに移動し、仁坂知事主催の昼食懇談会に出席。懇談会は非公開だったが、カハノフ大使は開会前に取材に応じ、「和歌山は山や城が美しく、来ることができて光栄。イスラエルにはリスクを恐れず、やってみる風土がある。お互いに協力する余地があるのではないか」と今後の関係強化に期待を寄せていた。
一行はその後、田辺市本宮町や那智勝浦町、串本町など紀南地方を訪れた。