ピアノ国際コンク2位 兼子・吉田さん
世界的なピアノデュオ、故エルンスト・F・ザイラーさんと和子・ザイラーさん夫妻が企画・提唱するピアノデュオの祭典「第10回かやぶき音楽堂インターナショナルデュオコンクール」(実行委員会主催)の本選で、和歌山市在住のピアノ講師・兼子万実子さん(50)と吉田寿美子さん(48)のデュオがC部門で2位に輝いた。
2人は初出場で初入賞。今大会は開催10回目を記念し、一台のピアノによる4手連弾に特化した難易度の高いコンクールとなった。
会場は京都府南丹市の「かやぶき音楽堂」。平成元年にザイラー夫妻が同地に福井県の古い寺を移築したもので、毎年初夏と秋にコンサートが開かれてきた。
4月の予選には国内外から26組が参加し、ABCの3部門で競った。6月17、18日の本選には15組が進み、兼子・吉田デュオはグリーグ「ノルウェー舞曲」作品35より第2曲と第4曲を奏でた。
兼子さんは「入賞できるとは思わなかったのですごくうれしい。勉強してきたことを評価していただき今後の活動の励みになる」、吉田さんは「2年半前にあこがれの先輩とデュオを組んだが、何とも言えない一体感を感じた。かやぶき音楽堂というめったにない空間で弾けたことも感激した」と喜びを話している。
2人は共に相愛大学出身で、和歌山市出身のピアニスト、元同大教授の出口美智子さんに師事。コンクールへの出場が決まってからは、主婦業やピアノ指導のかたわら、時間を見つけて互いの家を行き来しながら連弾のコンビネーションに磨きをかけた。
同じく出口さんの門下で、同市在住のピアニスト・小川友子さんは「コンクールに出るのは30代までがほとんどという状況の中、40代、50代が参加して入賞するのは大変な快挙。2人の活躍にエールを送りたい」と祝福の言葉を寄せる。
平成10年に始まった同コンクールは、ザイラー夫妻が「室内楽への理解を深め、2人で共に音楽をつくりあげる喜びを味わうきっかけとなれば」との思いで立ち上げた。ことし3月にエルンストさんが急性骨髄性白血病で死去したが、実行委の尽力により節目の10回目の開催にこぎ着けた。
演奏後の講評で和子・ザイラーさんは、2人が弾いたグリーグの作品について「私たち夫婦もよく弾いた思い出の曲であり、息が合った演奏を聴かせてもらい良かった」と話しながら涙を見せる場面もあったという。
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兼子さん、吉田さんの入賞記念コンサートが11月19日午後2時から、和歌山市野崎の緑風舎音楽ホールで開かれる。入場料1500円。また、9月16日午後2時からは、フォルテワジマのピアノ広場に出演する。