「すききらい」で楽しもう 近代美術館企画
「好き」「嫌い」といった素朴な感情を切り口に、美術作品を楽しむ展覧会「すききらい、すき?きらい?」が、県立近代美術館(和歌山市吹上)で開かれている。9月18日まで。食べ物や動物、体をモチーフにした絵画や写真、立体など50作家の約200点を展示。同館では「好き、嫌いの価値判断は、美術作品を見るときの第一歩。ぜひ好きな作品を探しに来て」と呼び掛けている。
子どもも大人も一緒に楽しめる夏休み企画「なつやすみの美術館」の第7弾。会場には、名画の人物に自ら成り切るセルフポートレートで知られる森村泰昌さんの作品、乳房を題材にした愛らしいオブジェ、眉毛をイメージした小泉雅代さんの色鮮やかな立体などが並ぶ。
また一見関心を持ちにくいような作品も紹介し、好きでも嫌いでもない、「普通」「別に」といった気持ちにも焦点を当てている。
同館の青木加苗学芸員は「例えば、ご飯の上に梅干しがのった『日の丸弁当』という作品も、年配の方で戦時中を思い起こす人もいれば、子どもたちは、お弁当という認識すらできないかもしれません」と話す。「一つのものを見たとき、人によって捉え方も感情もさまざま。自分がこんなものが好きだったのかと気付いたり、嫌なものに共通点があったり。他の人のいろんな考えを知ることにもつながれば」と話している。
作品の理解を深めるワークシートも用意され、夏休み中の子どもたちが大勢来館。明和中学校2年生の平松由成君は「気になったのは大きなリンゴの立体で、見た目が面白い作品が好き。それぞれに特徴があって、じっくり見ると楽しい」と話していた。
子どもを主な対象とした展示解説は20日午後2時から。問い合わせは同館(℡073・436・8690)。