明治の航海術を体験 陸奥宗光没後120年

没後120年を迎える和歌山市出身の元外務大臣・陸奥宗光も学んだ明治時代の航海術の体験会が17日、同市の和歌山港で行われた。

勝海舟の進言でつくられた神戸海軍操練所で学んだ陸奥が、坂本龍馬が結成した亀山社中(後の海援隊)で海運や貿易の仲介を行っていた当時の航海術を体験し、先人の心にふれてもらおうと「陸奥宗光 外務大臣」の功績を教育に活かす実行委員会(立谷誠一会長)が主催。小学生とその保護者約60人が帆船「みらいへ」に乗って、帆の張り方や星の位置から船の位置を割り出す天文航法などを体験した。

入港セレモニーでは、市立西浜中学校吹奏楽部の演奏が響く中、帆船が港へ到着し、立谷会長は「外務大臣だけでなく、海援隊としても活躍した陸奥宗光が使った航海術を体験し、当時を感じてもらえたら」とあいさつ。雨の中、参加者は船のデッキに集まり、陸奥と帆船の関わりについて福田光男副会長による講義を聴いた。

航海術の体験では、帆船の船首部分にあるバウスプリットを渡り、星の位置から場所を割り出す六分儀を使った。バウスプリットを渡る際は、ハーネスとヘルメットを身に着けて船の先端まで登っていき、船首に飾られた像にタッチして戻った。六分儀体験では、水平線を見ながら実際に太陽の高度を測定した。

和歌山市関戸から参加した中亜文君(12)は「六分儀は難しかったけど、便利な道具だと思った。昔の人は天体から位置を知るという知恵があってすごいと思った」と話していた。

午後からは実際に帆船を操作し、航海に出発。雨上がりの青空の下、和歌浦一帯の風景を海上から楽しんだ。

六分儀を操作する児童

六分儀を操作する児童