甘みギュっと凝縮 「蔵出しみかん」出荷間近
ミカン発祥の地で知られる和歌山県海南市下津地区で、「蔵出ししもつみかん」の出荷準備が大詰めを迎えている。天候の影響で収穫量はやや減少したが、「例年より糖度の高いおいしいミカンに仕上がった」(JAながみね)という。20日ごろから大阪や東日本方面に向けて出荷がスタートする。
同地区には約1000軒の栽培農家がおり、急斜面のミカン畑には木造土壁の貯蔵庫が点在する。ミカンは12月に収穫後、貯蔵庫で1~3カ月寝かせてから出荷。庫内は温度と湿度が一定に保たれており、熟成させることで程よく水分や酸味が抜け糖度が増す。300年も前から同地区に伝わる方法で、全国的にも珍しいという。
ミカン農家の岡本芳樹さん(59)方の貯蔵庫でも、天井まで組まれた引き出しの木箱にぎっしり入ったミカンが出荷を待つ。湿度を見ながらの棚の入れ替えや品質管理に余念がなく、岡本さんは「手間をかけて育てた大事なミカン。採れ立ての新鮮な風味を残して熟成させており、ぜひ多くの方に食べてほしい」と話した。