一層の連携強化を 海保や消防が急患輸送訓練

多数のけが人が発生したとする船舶事故を想定し、海南海上保安署と消防、医療機関の3者は13日、和歌山県海南市下津町の下津港湾合同庁舎前岸壁や付近海域で急患輸送訓練を実施。搬送技術や、治療の優先順位を見極める「トリアージ」など一連の救助活動の要点を確認した。

船舶事故は同市大崎沖の弁天島西側の浅瀬に13人乗りのプレジャーボートが乗り上げたという想定。午前9時15分に第一報を受けた同署は、ボートの船長と連絡を取り、同32分に巡視艇「あるでばらん」を現場へ出港させた。10時17分、現場でけが人のトリアージを実施。治療の優先順位を示す赤、黄、緑の順に色で識別できる印がつけられ、事故現場から同庁舎へ搬送された。

岸壁では、担架などを使って消防署員が巡視船から患者を引き揚げ、設置したテントではDMAT(災害派遣医療チーム)の医師や看護師らが救急治療に当たった。

海南海上保安署員22人、海南市消防本部職員23人、県立医科大学付属病院職員6人、恵友会病院職員4人が参加。現場からの情報を集約する海上保安署は、救助作業の流れについて、随時どの機関が指揮を執っているのか確認し、慢心した訓練にならないよう、気を引き締めていた。

参加した看護師は「海上での救助の技術を目の当たりにして、手際の良さに感心しました。非常時には訓練を生かしたいです」と話していた。

トリアージを行い運ばれる患者

トリアージを行い運ばれる患者