結果を恐れず受診を がん検診啓発イベント

 がん検診の重要性を伝える講演会とチャリティー演奏会「こころのコンサート~今つなぐ『いのち』のバトン~」が16日、和歌山県和歌山市の県民文化会館小ホールで開かれた。和歌山東南ロータリークラブ(鯨拓也会長)が社会奉仕事業の一環として開催。県や市のがん対策の取り組みなどが紹介され、約260人が耳を傾けた。

 県立医大呼吸器内科・腫瘍内科の山本信之教授が「がんとタバコの関係について」をテーマに講演。全国と比べて県の肺がん死亡率は高く、検診受診率は全国平均以下であること、喫煙が体に与える影響などを話した。

 神戸大学付属病院乳腺内分泌外科の谷野裕一特命准教授は、若い人に増加傾向にある難治性のトリプルネガティブ乳がんについて紹介。新たな治療法が待ち望まれる中、春から開始する臨床研究への支援を呼び掛けた。

 続くパネルディスカッションには2人の講師の他、市保健所の永井尚子所長、NPO法人いきいき和歌山がんサポートの浦野敏さん、石井浩子さんが参加。

 13年前、50歳を前に受けた検診で病気が見つかった石井さんは「『結果は乳がんだったけど、いい先生といい機械で見つかって、あなたはラッキーな人なのよ』という病院の方の言葉に救われた。早期発見で治療費や体へのダメージも少なく、残りの人生を有意義に過ごそうと思うようになった」と振り返り、肺がんを患い7年が経過した浦野さんは「結果を恐れずに検診を受けてほしい」とメッセージを伝えた。

 この他、「音奏人(かなでびと)」によるクラシックとジャズのコンサートもあり、来場者からは温かいチャリティーの支援が寄せられた。寄付金は国際がん診療研究センター・トリプルネガティブ乳癌センターに寄付される。

検診の重要性について意見を交わすパネラー

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