新型たばこにもリスク 禁煙デーフォーラム
「世界禁煙デー」(5月31日)を前に、近年急速に普及している「新型たばこ」をテーマにしたフォーラムが27日、和歌山県和歌山市西浜の県立和歌山工業高校であった。大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部副部長の田淵貴大(たかひろ)さんが「新型タバコの真実」を演題に講演し、「紙巻きたばこも過熱式たばこ(新型たばこ)も、ニコチンはほぼ同じように吸収される。発がん性のリスクが低くなるわけでない」と体に及ぼす影響を訴えた。
市民団体「たばこ問題を考える会・和歌山」(中川利彦事務局長)が主催。同団体は1987年に発足。ほぼ毎年、市民向けの講演会を開き、喫煙による健康被害などを訴えている。
新型たばこの一つ「過熱式たばこ」は、タバコ葉などを燃やすのではなく、専用機器で加熱して発生する蒸気を楽しむ新しいタイプのたばこ。国内では2014年に発売が開始され、煙や灰が出ないことなどから、人気を集めている。
田淵さんは日本人の7%が過熱式たばこを愛用している現状を報告。副流煙など周囲への影響はないと思われがちだが「『他人や本人への害はない』はうそ。紙巻きたばこに比べて少量でも、発がん性物質が含まれ全く害がないわけではない」とした。
また、健康被害はないと誤解を招きかねない宣伝文句に懸念を示した。社会への影響として、公共空間で分煙を進める一方、新型たばこの普及は禁煙化への動きを後退させる恐れがあるとし「草の根活動で、少しでもそのリスクを伝えていくことが大事」と話した。
講演を聞いた、海南市日方で薬局を営む原隆亮さん(55)は「せっかく分煙を進めてきたのに、『新型たばこだから吸っていい』と周囲を納得させているケースもあり疑問を感じる。新型たばこも体に影響し、駄目だと訴えていかなければと強く感じた」と話していた。