不戦の誓い新た 日中友好協会県連が集会
「平成」最後となる73回目の終戦記念日を迎えた15日、和歌山県内各地で戦没者を慰霊する行事や戦争体験を語り継ぐ集会などが行われ、平和の大切さをかみ締め、不戦の誓いを新たにした。
和歌山県海南市日方の海南保健福祉センターでは「第48回日中不再戦のつどい」が開かれた。戦時中、田辺市龍神村でアメリカ軍の爆撃機B29の墜落を目撃した古久保健(80)さんの戦争体験や、「日中両国平和の塔」建立の経緯などの講演があり、約20人が熱心に耳を傾けた。
日中友好協会県連合会(橋爪利次会長)、同会海南支部(幡川文彦支部長)が主催。平和の塔がある燦々公園で毎年開いてきたが、ことしは公園が改修中のため、屋内での集会となった。平和の塔は旧市役所跡地に建設予定の文化施設敷地内への移設が予定されている。
古久保さんは小学2年生だった1945年5月、日本の戦闘機の機銃攻撃でB29が炎上し、現在の田辺市龍神村に当たる日高郡上山路村大字殿原に墜落する様子を目撃した。
村民らは当初は混乱したものの、戦時下にもかかわらず、亡くなった兵士の慰霊や命を取り留めた兵士との交流を行い、その行動は人間愛にあふれたものだと、進駐軍からも称賛された。
古久保さんは墜落当時の詳しい様子や困窮した配給生活、アメリカ軍兵士の遺族らと続けている交流などを語った。
同県連の雑賀光夫副会長は「日中両国平和の塔建設の記録」と題して講演。海南市は漆の取り引きを通じて中国と交流があり、1966年に始まった文化大革命の混乱が続く中、国交回復前の71年に平和の塔が建立されたことを紹介し、「民間の友好関係は重要だ。移設を機に再度塔の意味を考えてもらいたい」と話した。