根来寺と葛城修験 岩出民俗資料館で宝物展

和歌山県岩出市根来の市民俗資料館は24日まで、2018年度根来寺所蔵宝物展「根来寺と葛城修験」を1階企画展示室で開いている。修験道の視点から根来寺の歴史をたどる初の内容となっている。

修験道は日本古来の山岳信仰と仏教の密教、道教などが結び付いて生まれた宗教。和歌山、大阪、奈良の3府県にまたがる和泉山脈と金剛葛城山地は古来、総称して「葛城山」と呼ばれ、山林修行の道場が根来寺にもあったことから、修験道と根来寺の関係を知ってもらおうと企画した。

同館の味村満館長補佐(56)によると、葛城山での修験は呪術者の役行者(えんのぎょうじゃ)や僧の行基らが飛鳥・奈良時代に行って以降盛んになったといわれ、16~17世紀にかけて最盛期を迎えた。修験者が修行を行う28の道場「葛城二十八宿」が和歌山市の友ヶ島から大阪府柏原市にかけて形成され、現在の岩出市内では根来寺境内と押川の集落にあった。

宝物展では、役行者の姿が描かれた掛け軸や葛城二十八宿の解説パネルの他、中世末期の根来寺一帯が描かれ修験が行われた道場も登場する「根来寺伽藍古絵図」のレプリカなど計27点が展示されている。役行者を祭っている紀の川市の中津川行者堂や、修験道の修行を体験できる大阪府泉佐野市の七宝瀧寺など現在も修験道と関わりの深い仏教施設も写真で紹介している。

味村館長補佐は「根来寺に修験道の道場があったことを知っていただきたい」と話している。

16日午後1時半から同館職員による展示解説がある。入場無料。午前9時から午後5時(入館は4時半)まで。火曜休館。

問い合わせは同館(℡0736・63・1499)。

根来寺の修験道場などが描かれた「根来寺伽藍古絵図」

根来寺の修験道場などが描かれた「根来寺伽藍古絵図」