国民に寄り添う天皇陛下を語る 久能靖さん

天皇陛下の即位30年を記念した講演会が26日、和歌山県和歌山市友田町のホテルグランヴィア和歌山で開かれ、皇室ジャーナリストの久能靖さんが、「象徴天皇」の在り方を考え続け、国民に寄り添う陛下の行動や皇室の祭祀について語った。

天皇陛下御即位三十周年奉祝県準備委員会が主催し、約300人が参加した。

久能さんは元日本テレビアナウンサーで、1990年から「皇室日記」のキャスターを務め、陛下と皇室を長く取材してきた。

陛下は91年に雲仙普賢岳が噴火した際に避難所を訪問され、被災者の状況を見て以来、さまざまな災害の被災地を見舞い、被災者の近くで言葉を掛けてこられた。久能さんは、当時は陛下の行動に批判もあったことを紹介し、「それでも国民に寄り添ってきたことが国民と皇室を近づけたのではないか」と話した。

退位については、なぜ年末ではなく来年4月30日になったのかを、ことし1月の天皇皇后両陛下の日程を紹介しながら説明。元日の早朝から伊勢神宮や四方の神々を拝し、国と国民の繁栄、安寧を願う祭祀「四方拝」を行い、皇族や大臣、宮内庁などからの祝賀が続き、2日には新年一般参賀、3日に祭祀「元始祭」、4日に伊勢神宮と宮中祭祀を掌典長が報告する奏事始の儀など、新年は行事や重要な祭祀が詰まっており、新天皇が1月1日に即位し、関連する行事を行うのは負担が大きいため、宮内庁が日程をずらしたという。

また、行事の空き時間に皇族がそろって箱根駅伝を観戦していたこと、陛下が皇太子時代に友人や侍従と共にマージャンを楽しまれていたことなど、あまり知られていない一面についても話した。

天皇陛下について語る久能さん

天皇陛下について語る久能さん