地域巻き込み成功を 中小同友会近畿青年部

 近畿2府4県の若手経営者らが集う「第15回中小企業家同友会近畿圏青年部合同例会in和歌山」が6日、和歌山県和歌山市七番丁のモンティグレ(ダイワロイネットホテル和歌山)で開かれ、約360人が参加。経営実践報告では、看板制作などを手掛けるメイク広告㈱(和歌山市梶取)の上野健司代表取締役(38)が「波乗り経営からのメイクドラマ~地域を巻き込んだ挑戦が会社を成長させる」と題して講演した。

 和歌山での開催は6年ぶり2度目。上野代表は23歳で起業。家電を自由なデザインにデコレーションする「デコ家電」で全国的な話題になったが、挑戦の裏には、起業から10年で50人が退職する事態があったことを明かした。

 自身の趣味のサーフィンを優先するなど、社員ときちんと向き合えていなかったことを反省。同友会との出合いをきっかけに、まずは自分を律して経営方針を見つめ直し、社員ともじっくりコミュニケーションを取るなど改善を図ったという。

 すると社員にも変化が生まれ「一人では目指せなかった夢も、この会社なら目指せるかも」などと言ってくれるようになったと、感極まった様子で話す場面もあった。

 子どもたちの交通事故を減らすきっかけにと、看板を通じた交通安全プロジェクトを立ち上げ、親子で参加する手作り教室を開催。当初は社会貢献事業として始めたが、社員間にも「子どもたちの通学路を守っている」との誇りが芽生え、賛同した地域の企業が看板に広告を付けてくれるなど、広がりが生まれたことを紹介。「仕事とは、誰かが喜んでくれ、それを自分の喜びに変えることだと痛感した。会社が飛躍できたのは、足元にある『困った』『何とかしたい』に挑戦した結果。地域の課題に、自分たちの技術がどう貢献できるか取り組むことは会社や社員、地域をも幸せにする」と話した。

 続く50グループに分かれた討論会では「地域から選ばれ続ける会社とは」をテーマに、活発に意見交換。懇親会では府県の垣根を越えて交流し、近畿のさらなる経済発展を願った。

起業からこれまでを振り返る上野代表

起業からこれまでを振り返る上野代表