仁坂さん大差で4選 投票率は低調38・33%

任期満了に伴う和歌山県知事選は25日、投開票が行われ、現職の仁坂吉伸さん(68)=無所属、自民・国民民主・公明・社民の各党県組織推薦=が市民オンブズマンわかやま事務局長で新人の畑中正好さん(66)=無所属、共産党推薦=を大差で破って4選を果たした。投票率は38・33%で、2014年の前回(39・65%)を1・32ポイント下回った。

14年と同じ顔ぶれの対決となった今選挙も、県民の審判は変わらなかった。仁坂さんは県議会の一般質問に答えるかたちで出馬表明。自民、国民民主、公明、社民の県組織と約300の企業・団体から推薦を受け、3期12年の実績を武器に組織的な戦いを展開した。経済対策や災害対策、道路整備などを訴え、優位に選挙戦を進めた。

畑中さんは「ゆたかで住みよい県をつくる会」の要請で出馬を表明。共産党の推薦を受け、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の是非を最大の争点に無党派層へ浸透を図ったが及ばなかった。

投票率減の38・33%

知事選の開票作業は30市町村の各開票所で順次行われた。投票率は38・33%で、過去最低の2006年の35・21%は上回ったが、3番目の低さだった。

男女別は、男38・23%(前回比1・27ポイント減)、女38・42%(同1・36ポイント減)。

前回と同じ2人の対決構図となり、IR誘致の是非など争点はあったものの、低調さが目立つ結果となった。

期日前投票は、前回比1・42倍の12万1296人。特に和歌山市の伸びが大きく、新たにイオンモール和歌山内に投票所を設置し、防災行政無線での呼び掛けの効果などもあり、同2・26倍の4万375人だった。

当日有権者数は81万6227人(男38万1315人、女43万4912人)。

「勇気づけられた」 仁坂さん、元気な和歌山へ抱負語る

午後8時、テレビで早々と当選確実が報じられると、和歌山市小松原通の選挙事務所は、集まった多くの支持者の拍手で包まれた。

その直後、仁坂さんが事務所に姿を見せると、再び大きな拍手が沸き上がり、島正博後援会副会長の音頭で万歳三唱。女性スタッフから花束が贈呈された。

選挙対策本部長の中村愼司紀の川市長は「この4期目、県が一層発展していけるよう12年間の経験を発揮してほしい」とあいさつ。推薦各党の国会議員らも祝辞を寄せた。

仁坂さんは「12年間やってきたことが多くの方々に評価され、県の発展を担ってほしいという期待の表れかと思う。大変、勇気づけられる選挙戦だった」と振り返り、「各地で受けたご厚意、期待に応えられるよう意見に耳を傾け、研さんを積んで県を元気にしていきたい」と抱負を語った。

「力不足で浸透できず」 畑中さん、カジノ反対訴え続ける

「私の力不足。短い期間の中で十分に主張を浸透させることができなかった」。畑中さんは和歌山市杉ノ馬場の選挙事務所で悔しさをにじませた。

最大の争点として訴えてきたIR誘致の反対については「しっかりと県全域で訴え、手応えは感じていたが、投票に結び付けることができなかった」と振り返った。対立候補の仁坂さんについては「カジノ誘致を争点とせず、政策面では信を得られていない」とし、今後について「カジノ問題はギャンブル依存症を生み、県民のためにならない。市民運動と合わせカジノ誘致はさせないという活動を続けていきたい」と話した。

花束を手に笑顔の仁坂さん

花束を手に笑顔の仁坂さん