文化財複製で学生ボランティア賞 和工
和歌山県立和歌山工業高校(和歌山市西浜)産業デザイン科の3Dプリンターを使った仏像のレプリカ制作が、公益財団法人「ソロプチミスト日本財団」の学生ボランティア賞に選ばれた。国内のさまざまな奉仕活動に対する顕彰や援助事業の一つで、国際ソロプチミスト和歌山(嶋晶子会長)が同財団に推薦。同賞はことし全国の10団体に贈られた。【写真は同団体提供】
産業デザイン科は県立博物館の依頼を受け、2010年に文化財のレプリカ制作を開始。3Dプリンターを使い、視覚障害のある人が文化財に触ってさまざまな情報を得られるよう複製を制作・展示し、ユニバーサルデザインの推進に一役買っている。
また、最近では仏像を盗難や津波などの災害から守るために複製を制作。これまで寺院に「お身代わり仏像」として27体を奉納し、地域からも喜ばれている。
宮城県の仙台国際センターで行われた表彰式には、嶋会長や会員の他、産業デザイン科の川西春瑠(はるる)さん、同科の児玉幸宗教諭が出席。同財団の千容子(まさこ)理事長から表彰を受けた。
全国的にも他に例がなく、意義深い取り組みであると高く評価された。講評でも唯一事例を挙げて紹介されるなど、注目を浴びたという。
また先日、和歌山市内で開かれた国際ソロプチミスト和歌山の例会には、制作に取り組む6人の生徒が出席。賞状と副賞10万円が伝達された。
現在は田辺市の寺に奉納する28体目を制作中といい、児玉教諭は「生徒たちは、社会のお役に立てることをうれしく思っています。長く続けてきた取り組みを認めていただき、光栄。これからも文化財を守る取り組みを続けていきたい」と話していた。
賞金は同校が地域や企業と連携し、商品開発などに生かすファンドとして学校運営に活用されるという。