海南市お菓子振興条例成立 市民の請願実る

 海南市議会で審議されていた「お菓子の振興に関する条例」が20日、全会一致で可決、成立した。「菓子発祥の街」として市をPRしようと、市内の菓子店主らによる有志グループが、条例制定を請願していた。成立を受け、グループは市役所で記者会見し、条例をまちづくりに生かす今後の展望を話した。

 菓子に関する条例は、饅頭の発祥の地として三重県名張市が制定している例があるが、全国でも珍しいという。

 市は、菓子の起源とされるかんきつ類の橘の木が日本で最初に伝来した地とされ、橘ゆかりの市内の橘本神社は菓子の神様・田道間守(たぢまもり)を祭っている。菓子発祥の地として市の知名度を高め、郷土愛の醸成や地域振興を図ろうと、地元有志グループ「鱧の街・菓子の街海南プロジェクト実行委員会」のメンバーら28軒の飲食関係者らが条例制定を請願していた。

 条例では、市が菓子の振興に必要な措置を講じること、菓子関係事業者が独自商品の開発や菓子の食べ方の考案などの取り組みを主体的に行うこと、市民は菓子発祥の地への理解と関心を深め、市や事業者の取り組みに協力するよう努めることなどが盛り込まれている。

 記者会見した同実行委員会・菓子グループ代表の野田智也さんはじめメンバーは「海南の代表的な土産となる新しい菓子を開発したい」「菓子だけでなく果物の産地としても海南をPRしていきたい」「食育にも取り組み、子育てしやすいまちづくりをしたい」などと今後の抱負を話した。

 同席した神出政巳市長は「市内の小売店が市民からさらにひいきにされるよう、まちを活気づけていきたい」と市として取り組みを進める考えを話した。

 会見には田道間守の飼い猫と設定されている猫のキャラクター「海ニャン」も登場し、菓子の街をPRした。

 来年3月12日、全国の駄菓子メーカーなどによる「DAGASHIで世界を笑顔にする会」のイベントが市内で開催される予定で、条例制定後初の大きな取り組みの機会となる。

条例制定を喜ぶ有志グループの皆さん

条例制定を喜ぶ有志グループの皆さん