和歌山市の文化向上に貢献 18年度表彰式
和歌山県和歌山市の文化の向上発展に特に顕著な功績のある人や団体をたたえる2018年度市文化表彰の表彰式が15日、和歌浦南の和歌の浦アート・キューブで開かれ、受賞者4人と1団体が表彰を受けた。
1982年度から行われており、今回で37回目。これまでに文化賞35人、文化功労賞62人・2団体、文化奨励賞33人・23団体が受賞している。
特に顕著な業績を残した人に贈られる文化賞には和歌山市出身の声楽家・斉藤言子さん(64)=兵庫県宝塚市=、文化功労賞に書家の小澤清湖さん(72)、声楽家で演出家の多田佳㔺子さん(79)、文化奨励賞に和歌山市出身のピアニスト・中谷政文さん(35)=東京都=と和歌山市語り部クラブが選ばれた。
文化賞の斉藤さんは78年に第9回イタリア声楽コンコルソで優勝し、ミラノ大賞を受けたことをはじめ多数の国際声楽コンクールで受賞。後進の指導にも力を注ぎ、18年には市の真舟芸術振興基金若手芸術家支援事業を活用し、合唱に打ち込む市内中学生を指導するなど、市内外で日本の音楽文化の振興と向上に寄与してきた。
文化功労賞の小澤さんは、県の書道教育の第一人者である天石東村らに師事。市美術展覧会や県美術展覧会では長年審査委員を務め、現在は「ねんりんピック紀の国わかやま2019」美術展運営委員を務めるなど、書道教育をライフワークに位置付け、市の書道美術の振興に貢献している。
多田さんは50年以上にわたり市を拠点に音楽活動を続け、和歌山市民オペラ協会をけん引して数々の定期公演に出演し、国内外の著名アーティストと交友を持つなど、市に上質なオペラ文化を創出し、舞台芸術の振興に貢献している。
文化奨励賞の中谷さんは4歳からピアノを始め、国内のコンクールで優秀な成績を残し、08年の第8回ソフィア国際ピアノコンクール第1位をはじめ、国際的なコンクールでも入賞を重ねた。幼少期から実力が高く評価され、各地で積極的な演奏活動を展開し、今後のさらなる活躍が期待される。
和歌山市語り部クラブは1991年に創立し、和歌山城をはじめ市内の観光名所などを案内し、市の歴史や文化を深く語り伝えている。まちの魅力の新発見・再認識のため日々知識を深め、語りの技術を磨き、外国語を話せるガイドを育成し、市のインバウンド化を推進。地域が誇る文化資源の継承と地域活性化に尽力している。
表彰式には尾花正啓市長や歴代受賞者ら約80人が出席し、受賞者の功績をたたえ、祝福した。尾花市長は「本市に息づく文化芸術の姿を国内外に示し、今後とも深い識見と豊かな経験を基になお一層の活躍を期待します」とあいさつし、表彰状と副賞を手渡した後、受賞者にメダルを掛けた。
受賞者を代表して斉藤さんが「受賞は大きな喜び。これからも精進して人の役に立てるように一生懸命頑張っていきたい。また、後進の指導にもあたっていきたい」と感謝と今後の抱負を述べた。