蔵出しみかんが初出荷 下津ブランド全国へ

和歌山県海南市下津町の地域ブランド「蔵出しみかん」の初選果、出荷が17日、JAながみねしもつ営農生活センターで始まった。この日は約80㌧が大阪府や東京都など全国各地へ。関西では18日、北海道では21日に初売りが行われる。

昨年11月中旬から収穫し、順次木箱に詰めて蔵で寝かせ、まろやかな味わいになった「蔵出し」は、「3月の彼岸までミカンを食べたい」という消費者からの根強い需要に応えるもので、値段は通常の約2割増しとなっている。

同町橘本の土井章弘さん(74)は50年以上にわたりミカン栽培を手掛けており、長年の経験で培った自然の気候を生かす保存技術で、今季も高品質に仕上げた。約2カ月間、庫内の温度や湿度、果実の状態に細心の注意を払い、熟成に最適な環境が与えられるよう配慮、調整してきた。夏の猛暑や暖冬を振り返り、「木がよく頑張ってくれた」と涙ぐむ土井さんの姿に、妻の福美さんは「ミカン作りが好きなんです」とほほ笑む。

土井さんら約300軒の農家が手塩にかけたミカンの出荷は3月上旬まで続き、総量は約3000㌧になる見込み。同センターの宮本佳紀係長は「毎日の選果と週末のキャンペーンで休み返上ですが、他にないミカンのPRを頑張ります」と話していた。

選別され全国へ出荷される「蔵出しみかん」

選別され全国へ出荷される「蔵出しみかん」