県野球協議会が初会合 指導法など意見交換

和歌山県内の学童野球から大学野球までの指導者が選手の指導法や競技人口の減少抑制などについて考える「県野球協議会」が9日、設立された。和歌山市友田町のホテルグランヴィア和歌山で開かれた第1回協議会では、智弁和歌山高前監督の髙嶋仁さんが指導者に求められる姿勢について講演し、「指導者は日頃から視野を広げる努力を」とアドバイス。指導者同士による意見交換では、野球人口の減少や指導の在り方などについて各現場の状況を語り合った。

野球人口が減少する中、各世代の指導者の連携を深め、野球の振興につなげてもらおうと県高野連が呼び掛けた。

髙嶋さんは出席した指導者約120人を前に、「自分の野球(の知識)はちっぽけなもの」と意識し、海外旅行や研修の受講、読書などを通じて日頃から視野を広げることの大切さを強調。シーズンオフに東京での指導者講習会に通ったり、ペルーの古代遺跡・マチュピチュを訪れたりして野球の技術や人間に対する理解を深めたことを紹介した。

高校野球で監督と共にチームを指導する部長の重要性にもふれ、箕島、池田(徳島)、横浜(神奈川)の黄金期や現在の大阪桐蔭を例に、「強いチームには優秀な参謀がいる」と説明。智弁が全国制覇を果たした1997年夏の準決勝・浦添商(沖縄)戦の投手起用を振り返り、前の試合で打ち込まれた児玉生弥投手に先発を任せたのは林守部長(現京都文教高監督)から「児玉はノックアウトされた次の試合で好投する傾向がある。児玉でいきましょう」と提案を受けたからと明かした。児玉投手は7回無失点の好投。「ここぞというときに部長が良いアドバイスをくれたことで甲子園で3回も優勝できた」と話した。

約10人ずつのグループに分かれての意見交換では、「中学まで野球をやっていたが高校ではやらない子が結構いる」「用具にかかる費用の負担やお茶当番の負担が重く、保護者が子どもが野球をやることに賛成してくれない」などの声が出され、指導者らは熱心にメモを取っていた。

広い視野の大切さを訴える髙嶋さん

広い視野の大切さを訴える髙嶋さん