かんきつ新品種「はるき」 県が開発ブランド化
和歌山県果樹試験場は、かんきつ新品種「はるき」を開発した。3月に成熟期を迎える中晩柑品種で、サクサクとした果肉の粒と皮をむきやすいのが特徴。昨年12月に品種登録を出願し、早ければ2020年に登録される。
はるきは、中晩柑品種の清見に中野3号ポンカンを交配。清見の成熟期や果実の大きさと、中野3号ポンカンの皮のむきやすさを受け継いだ。糖度は13~14度程度で、果肉の粒を包むじょうのう膜が薄く、食べやすい。皮が硬い中晩柑品種の清見やハッサクのかんきつとは異なり、はるきの皮は手で簡単にむくことができる。果実は180㌘程度で、果皮は鮮やかなだいだい色で滑らか。「春の紀州を感じる果実」としての流通を願い、命名した。
交配から約16年、12人の研究員が開発を引き継ぎ、はるきは誕生した。2002年に交配し、08年に初結実。11年には73個体から味の優れた3個体を一次選抜した。その後、二代目結実や最終選抜を行い、特性調査を経て品種登録の出願に至った。
病気に強いため、比較的栽培がしやすく安定した生産が見込めることから、生産者の収入安定が望めるという。年内には育苗組合に母樹を配布し、21年の苗木流通を目指す。果実の出荷や販売は26年ごろとしている。
仁坂吉伸知事は「甘くて、程よい酸味があって、とてもおいしい」と述べ、県の新たなブランドとして期待を寄せたた。同試験場栽培部の田嶋晧主査研究員は「味が評価される品種として普及してほしい」と話している。