選ばれるスーパー目指して 大桑専務に聞く
―半世紀以上にわたってオークワが地域に愛され、発展し続けてきた要因はどのような点にあると感じているか
創業以来、「商業を通じて地域社会に貢献する」を信条に、お客さまのために何ができるかを常に考え、地域に密着したスーパーとして地道に小さな努力を積み重ねてきたことが、お客さまに支持され、今につながっているのだと思います。
―現在、最も力を入れて取り組んでいることは
これまでは店舗の売り場面積を少しずつ広げ、品ぞろえを充実させてきましたが、現在は売り場を大きくするだけでなく、店のリブランド化のため改装もしています。
商売を続けるには商品が最も重要。店舗では惣菜部門に最も力を入れています。自社工場「オーデリカファクトリー」で製造した、だし巻き玉子や、店舗内製造し、2009年度の販売開始から累計500万食を突破した名物カルビ重など、味、品質、鮮度に磨きをかけ、もっとアピールしてオークワならではの商品を買いに来ていただけるお客さまを増やしていきたいです。オークワ独自の商品づくりで、これまでより一層お客さまに支持される「オークワブランド」を確立させたいと考えています。
―経営においての課題は
良い人材を育てること。例えば、例年と同じような取り組みをするにも「じゃあ、去年やったことをことしは少し変えてみよう」という発想ができる人材を育てたいですね。「与えられたことはやるけれど、それで終わり」という人ばかりでは、商売はうまくいきません。
お客さまに買い物をする楽しさや感動を提供し、「商売が楽しい」と思う社員、例えば自分が仕入れた商品をお客さまに買っていただく喜び、お客さまの笑顔が自身の喜びや、やりがいに感じられる社員を育てていきたいです。また、和歌山で育てていただいた会社なので、地元を活性化させるために何かできないかを絶えず考えています。
―少子高齢化やネットビジネスの拡大で、消費者のライフスタイルも変化しているが…
人口は減少していますが、オークワは遠くから来店していただけるお客さまに支えられている部分もあります。そのため、もっと近くに住む人にもお店に足を運んでもらい、「普段買い」をしてもらうことに注力したいです。
一方で、特に高齢化が進む和歌山で、買い物に関して、お客さまに不自由をかけない方法はないか模索しています。
―これまでの経験をどのように生かしたいと考えているか
人事にも携わり、営業一辺倒ではないのが強みだと思います。私の入社時はバブル経済が崩壊し、同業異業を問わず競合店との競争が激化する中で、私自身「お客さまに選んでもらうのは、そう簡単ではない」という意識が強くありました。間違った成功体験がないおかげで、先入観を持たずに取り組めていると感じています。農産、畜産、水産、惣菜の生鮮4部門で、自社ブランドを生かして他店と差別化し、お客さまに選んでいただける店舗づくりに力を注いでいきたいです。
―今後70、80年、100年に向けての思いを
これまで同様、お客さまが必要とするものは何かを考え、買い物をする楽しみや、ワクワク感を提供していきたいです。60周年を機に「reborn(リボーン)」(生まれ変わる)をキーワードに再スタートできれば。原点に立ち戻り、これからも地域に貢献できるよう、新たな気持ちでさまざまなことに挑戦していきたいです。
長年地域とお客さまに育てていただいたので、恩返しができればと思います。60周年を機に、従業員の制服も一新しました。吉本新喜劇への招待や工場見学ツアー、商品券のプレゼントなど、ご愛顧いただいているお客さまに還元できる企画を考えていますので、どうぞご期待ください。