県とタイ工業省が覚書 中小企業を共同支援

 県内中小企業の国際ビジネスのチャンス拡大に向け、和歌山県は20日、タイの工業省と経済連携に関する覚書(MOU)を締結した。県はアジア各国との協力関係を推進しており、共同声明やMOUの締結は今回で6カ国・地域、9件となった。

 今回の覚書は、タイと県の中小企業間の連携促進で協力することを掲げている。中小企業を共同でサポートすること、セミナーや展示会の開催、定期的な協議の場の設置、両社に連絡窓口を設けることなどで合意しており、タイ側は産業振興局長、県側は知事名による調印となった。

 締結式は県庁正庁で行われ、仁坂吉伸知事とコブチャイ・サンシッティサワッド産業振興局長が覚書に署名した。

 仁坂知事はタイについて「経済力があり、経済発展のスピードも著しい。素晴らしい国だ」とたたえ、「和歌山は世界の中で生きていかなければいけない。工業省はタイの産業界に大変なネットワークを持っておられる。MOU締結は大変意義深いことだと思う」と喜んだ。

 タイ工業省からはパス・ロハジュン事務次官も出席。日本の皇室とタイ王室間には交流があり、タイにとって日本は有数の貿易相手国だと述べ、「和歌山の中小企業は技術が高いと感じた。MOU締結は、より緊密な協力をしていく第一歩になる。お互いの投資が活発になっていくことを期待している」と話した。

 ロハジュン事務次官やサンシッティサワッド局長らタイの一行はこの日、県工業技術センター(和歌山市)や紀州漆器伝統産業会館うるわし館(海南市)などを訪れ、県内の産業技術を視察した。

 県はタイ観光庁との観光促進についての趣意書を交わしており、インド・マハラシュトラ州やインドネシア、ベトナム、香港、台湾ともMOUなどを締結し、協力関係を深めている。

覚書を手にする仁坂知事(右から2人目)とサンシッティサワッド産業振興局長(同3人目)、ロハジュン事務次官(同4人目)ら

覚書を手にする仁坂知事(右から2人目)とサンシッティサワッド産業振興局長(同3人目)、ロハジュン事務次官(同4人目)ら