安定の投手陣支える控え捕手 智弁8日初戦

 第101回全国高校野球選手権大会は3日目の第1試合(8日午前8時開始予定)、和歌山県代表の智弁和歌山が米子東(鳥取)との初戦に登場する。伝統の強打に加え、和歌山大会は5試合で失点1と投手陣が安定し、甲子園の舞台でも活躍が期待される。マウンドで力を発揮できるよう、仲間の投手たちをブルペンでサポートしてきた陰の功労者、控え捕手の湯浅公貴君(3年)を紹介する。

 上手から最速138㌔の直球を投げ込む本格派右腕だった湯浅君は昨秋、捕手への転向を志願。投手として伸び悩みを感じていたことや、控え捕手の育成が課題となっていたことから、中学時代に経験のある捕手でチームに貢献しようと考えた。

 遠投は95㍍で「肩もそれなりに自信があった」が、正捕手への道は険しかった。チームには強肩と長打力でプロも注目する東妻純平君(3年)がおり、ベンチを温める日々。高校入学後に内野手から転向した東妻君に対しては「吸収力が凄く、入部した時から雲の上の存在だった。自分は同じ失敗を繰り返していた」と実力に敬意を抱く。「東妻にけががあったとき、しっかり守れる捕手になろう」と決意し、練習に励んだ。

 特に苦しんだのは、捕手の手前でバウンドする変化球への対応。球が当たり腕にあざができたこともあった。捕球技術を高めようと、多い日は投手の球を約300球受け、あえてワンバウンドの球を投げてもらい、捕逸しないための練習も繰り返した。

 試合中はベンチで捕手出身の中谷仁監督が発する言葉を集中して聞き、学んだ。春から夏にかけての練習試合では、一時調子を落とした東妻君に代わってマスクをかぶり、好リードを見せた。「捕手として自信がつきました」と話す。

 多彩な投手による継投が多いことしのチーム。試合中は、序盤から登板に備えて肩をつくる投手の球を受け続ける。心掛けているのは、受けていて感じたことを遠慮せず投手に伝えること。「投手に『何だこの捕手は』と思われてもいい。しっかり不安を解消してマウンドに上がってほしいから」。和歌山大会は出場機会がなかったが、懸命に努めるサポート役でチームに果たす貢献は大きい。

 「甲子園で絶対に日本一になり、大学などで力をつけ、将来はプロに行ってみせます」。そう語る頼もしい控え捕手が、甲子園でも智弁投手陣の力投を支える。

安定した投手陣を支える湯浅君

安定した投手陣を支える湯浅君