感染収束後の観光見据え アジア市場説明会
和歌山県は、外国人観光客の増加を目指してアジア各地に設置している「県観光プロモーター」による市場説明会と個別相談会を、和歌山市の県民文化会館で開いた。新型コロナウイルス感染症の拡大により観光市場は冷え込み、先行きが見えない状況だが、回復へ転じる時期を見据え、各地域の観光客の特徴や日本に対するニーズなどについて約50人が学んだ。
県観光プロモーターは、中国、香港、台湾、韓国、タイ、インドネシア、ベトナムの7市場に設置し、現地の旅行動向などの情報収集の強化や、現地エージェントなどに県の観光資源に関する情報を効果的に発信することなどを目的としている。
今回の市場説明会と個別相談会は17日に開かれ、香港、韓国、タイ、インドネシア4市場のプロモーター6人と、県内の自治体や観光協会、企業など20団体以上が参加した。
県観光交流課の橋本恵一郎課長は、県のインバウンドの取り組みの現状を説明。2018年の外国人宿泊者数は約48万人で、シェア約7割のアジア市場が2年連続で減少した一方、欧米豪市場が前年比13・3%増と堅調な増加を示し、シェアを3割近くまで拡大した。19年(1~11月)は、全国的には増加した台湾とタイの宿泊者数が、知名度不足などにより減少し、7月以降の日韓情勢の悪化により全国的に減少した韓国については、全国より落ち込みが大きく、前年比58・9%だった。
ことしに入ってからは、新型コロナウイルスの影響で、昨年まで伸びていた中国からのキャンセルが相次ぎ、新たな予約がほぼ入らない状況といい、橋本課長は「事態が収束したら、もう一度キャンペーンをしていきたい」と述べた。
香港市場のプロモーター、許澤燕さんは、昨年から続く香港の民主化運動の概要を説明した上で、政治的混乱にもかかわらず、香港からの訪日観光客は減っておらず、19年は前年比3・8%増の229万人を記録したことを紹介。香港の人口は747万人で、3人に1人が日本を訪れたことになり、許さんは「日本は香港で最も人気の高い海外旅行目的地であり、香港は非常に可能性の高いマーケットだ」と話した。
この他、各地のプロモーターからは、旅行者の特徴や観光地に求めるトレンドの紹介、ターゲットとすべき年齢層、効果的なプロモーションの在り方などのプレゼンテーションが行われた。
県内事業者は、個別相談会でさらに詳細な市場説明を受けるなど、今後の観光客獲得の戦略構築に向け、熱心に情報を集めていた。