共同制作で世界が展開 連句の会愛好の輪広がる
参加者同士で「五七五」「七七」の句を交互に詠む「連句」が、全国的にじわりと人気を集めている。和歌山県内でも、昨年4月に「連句とぴあ和歌山」が発足し、2カ月に1度、和歌山市内で連句会を催している。同会によると、共同作業によって連想が飛躍し、思い掛けない別世界が繰り広げられるのが魅力。来年県内で開かれる国民文化祭でも連句が予定されており、県内でも愛好者を増やしていきたいという。
「次はちょっと雰囲気を変えて、明るい方向へ転じてみましょうか」――。県民文化会館の会議室で開かれた同会の連句会で、講師を務める日本連句協会理事の小池正博さん(65)が穏やかな口調で呼び掛けた。
同会には現在、奈良や大阪からの参加者を含め、60~70代の9人が在籍している。
和歌の名手三十六歌仙にちなみ、36句を連ねる「歌仙」が主流。参加者は句ができると短冊にしたため、進行を務める「捌(さば)き」役の小池さんに提出。その中から優れた句が採用される。
発句の五七五で始まり、七七、五七五、七七…と言葉をリレーしていく。題材などに関するルール「式目(しきもく)」に基づき、季語を入れたり入れなかったり。前の句とイメージや言葉が重ならないよう、バランスよく展開していくのが連句の特徴だという。
連句には、共同で一つのものをつくり上げる面白さがあるという。小池さんは「参加者それぞれが音を出して、一つの作品を完成させる。いわば私が指揮者で、皆さんが演奏者のようなイメージですね」とにっこり。
10年連句を楽しむ女性の会員は「自分で句を作って来なくてよいので楽なんです。誰かが詠んだ句に言葉を添えるだけ」と話す。
同会では初心者の参加も歓迎。代表を務める和歌山市の金川宏さん(66)は「句を加えることで、世界が大きく変化していく。思いも寄らない方向に物語が展開することもあります」と魅力を語り、「決して堅苦しいものでなく遊びの要素もあり、ぜひ気軽に楽しんでもらいたいですね」と話している。
連句会の問い合わせなどは金川さん(℡073・452・7235)。