初のオンライン商談会 県内2社が大連と

新型コロナウイルスの世界的流行により、海外と行き来しての商談や展示会の開催が困難な状態が続く中、和歌山県内企業の販路開拓の動きを止めることなく推進しようと、日本貿易振興機構(ジェトロ)和歌山貿易情報センター(柴田哲男所長)は、海外バイヤーとの初のオンライン商談を開催した。今後は主流の手法となることが予想されており、県内企業が自社商品を売り込むチャンスの提供に力を入れる。

新型コロナの感染拡大以降、海外との新たな取引の推進は足踏みを余儀なくされてきたが、ジェトロ本部が進める「ジャパンモール事業」は、6月下旬から商談を再開。同事業は、国内企業から商品登録を募り、ジェトロがバイヤーに代理紹介し、引き合いがあれば商談などの機会を設定し、成約に至れば海外のEC(電子商取引)サイトで販売する。再開した商談には県内から3社が参加した。

本部の動きに加え、ジェトロ和歌山は今月7日、単独で企画した初のオンライン商談会を開催。ビデオ会議システムを利用し、県内2社が中国東北部の大連市のバイヤーに自社商品を売り込んだ。

大連市は、市政府などが日本商品に特化した展示会を主催し、11回目の昨年も県内から7社が出展し、和歌山とのつながりが強まっている地域。6月上旬、フルーツジュースの取引先を探しているバイヤーがいると、ジェトロの大連事務所から連絡があり、関心を示した県内企業6社の情報をバイヤーに提供したところ、㈱伊藤農園(有田市宮原町)、㈱クレイシア(和歌山市冬野)の2社との商談が決まった。

商談の相手は、菓子と飲料を中心に日本食品の輸入・卸売りを手掛けている大連旭景国際貿易。

商談時間は2社各30分で、伊藤農園は自社から営業課リーダーの前地康平さんが、クレイシアは営業担当の二川和也さん、同社の取扱商品を製造しているオフィスナカムラ(広川町)の中村尊泰代表の2人が、県庁内のジェトロ和歌山から参加した。

2社は実際の商品やカタログをカメラの前で示しながら、ミカンをはじめ県産フルーツを使った自社のフルーツジュースの特徴や品質へのこだわりを説明。バイヤーは、中国での商標登録の有無、商品ラベルや品質保持期限などについて質問し、中国の消費者にアピールする上で高級感を求めていることなどを話した。

商談を終えた二川さんは「知りたいポイントが明確で話しやすかった。商品の独自性を求めるところに提供したいので、一つの選択肢になる」と手応えを話し、商談に立ち会ったジェトロ和歌山の新谷竜吾さんは「商談の感触は良かったのではないか。今後もこうした機会を提供し、県内企業、ひいては和歌山のために、必要なサポートを全力でしていく」と力を込める。

柴田所長は、今後はオンライン商談が主流になる可能性が高く、より詳細な話が必要な場合に渡航して会う形になっていくのではないかとし、「コロナの影響で、一時は県産品の売り込みが難しいと思われたが、新たな形ですることができた」と話した。

画面の向こうのバイヤーに商品を説明する二川さん㊨、中村さん㊥

画面の向こうのバイヤーに商品を説明する二川さん㊨、中村さん㊥