土砂災害に警戒 県南部に短時間大雨情報

前線を伴い西日本の南海上にある低気圧の影響で、和歌山県南部は25日午前、局地的に猛烈な雨に見舞われ、気象庁は6カ所に記録的短時間大雨情報を発表した。北部でも大雨の恐れがあり、26日にかけて土砂災害などに警戒する必要がある。

発表によると、1時間に降った雨量が、すさみ町付近で10時30分までに約110㍉、串本町付近で同時刻までに120㍉以上、古座川町付近で10時50分までに約110㍉、新宮市南部付近で11時までに約120㍉、那智勝浦町付近で同時刻までに約120㍉、太地町付近で11時10分までに約110㍉とみられる。

記録的短時間大雨情報は、その場所で数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測・解析したときに気象庁が発表するもの。基準は、1時間雨量歴代1位または2位の記録を参考に決められている。

気象庁の予想では、26日正午までの24時間雨量は多いところで、県北部が100㍉、南部が120㍉となり、浸水や河川の増水、土砂災害などに警戒が必要となっている。

県のまとめによると、25日午後0時30分までの累積雨量は、新宮市高田で287㍉、那智勝浦町市野々で207㍉、同町西中野川で197㍉を記録した。

みなべ町では民家の床上浸水2棟、空き家の浸水1棟、工場の床上浸水1カ所が発生。串本町は8120世帯・1万4918人に避難勧告を出し、同日正午時点で4世帯・4人が避難している。

県内の交通機関にも影響が出ており、道路関係では、古座川町月野瀬の県道すさみ古座線が冠水のため全面通行止めとなっている。

JRきのくに線は、25日午前8時55分ごろ以降、南部駅をはじめ県南部の複数の駅の雨量計が規制値に達したため、御坊―新宮間で運転を見合わせた。11時25分までに特急くろしおの上下線13本が運休または部分運休するなど、ダイヤは大きく乱れている。

南紀白浜と羽田を結ぶ空路は、25日の3往復のうち、第1便の白浜発が欠航、羽田発が悪天候のため途中で引き返しとなり、第2便は白浜発、羽田発ともに出発が遅れた。