異文化や人の営み記録 川口さんが写真展
和歌山県和歌山市の川口理一郎さん(89)の写真展「『モロッコ・チュニジア』幻想紀行」が6日まで、同市宇須のギャラリー花畑で開かれている。
ワカヤマフォトクラブで講師を務める川口さんは、独特な北アフリカの雰囲気に魅せられ、2000年から15年までの間にモロッコとチュニジアを2回ずつ旅行。今展では旅先で出合った人や風景などをモノクロで表現した約90点を展示している。
会場に並ぶのは、厳しい自然に向き合いながら遊牧生活を送る先住民、青空マーケット、伝統のなめし皮工房の職人、水くみの少女など。広大な砂漠を行くラクダの一行を捉えた「昇陽」は、夜明け前から稜線が美しく見える場所でカメラを構え、日が昇る時間や人が来るのをひたすら待って写した一枚。光の状態が変化する瞬間を逃さず、シャッターを切ったという。
「造形的な写真も好きですが、その国の何気ない日常、文化や風習を撮りたかった。自分が感じたことを記録する、日記のような感覚です」と川口さん。モロッコの世界遺産フェズの旧市街で狭い路地を行き交う人や物売り、荷物を運ぶロバの他、チュニジアの穴居住宅、まちなかで水たばこを楽しむ人の姿など、市民の生活の場を生き生きと写し取っている。
川口さんは「一見不便に思われるような暮らしの中でも、たくましく生きる人の姿があり、まちには活気があった。そんな雰囲気が伝わればうれしいですね」と話している。
午前10時から午後5時(最終日は4時)まで。問い合わせは同ギャラリー(℡073・435・3615)。