嘆願署名受け取らず 子育て拠点削減で和市

和歌山県和歌山市福島の地域拠点施設「ほっとルームぐるんぱ」の利用者らでつくる「ぐるんぱ存続を求める親の会」のメンバーが2日、市役所を訪れ、市が進めている「地域子育て支援拠点施設」を減らす計画について、再考と施設の存続などを求める嘆願書と約8000筆の署名を提出したが、市は受理を拒否した。

同市は10月、来年度から市を10ブロックに区切り、現在の12施設から2施設減らし各ブロックにつき1施設の配置とすること、それに伴い、新規事業者の参入も受け付け、企画書の提出などから業務委託先を決定するプロポーザルの実施を12月に行うと発表。「ぐるんぱ」がある地域には、複数の施設が存在し、削減対象にあたることから、親の会のメンバーらが署名活動を続けてきた。

11月上旬、同会は1度市役所を訪れ、市民の声を尾花正啓市長に直接届けたいと訴えたが、市長との面会、また受理するかどうかも含めて検討し、後日返答するとなっていた。約1カ月後の回答が、市長との面会不可、市として嘆願書を受け取らない、というものだったことから、メンバーらはプラカードなどを持参し、抗議の意味を込めて「市として市民の声を受け取るべき」とこの日再び同所を訪れた。

「立ち止まって考え直してほしい」「とにかくみんなの声を受け取ってもらいたいだけ」と、涙ながらに訴えるメンバーの姿もあったが、市との話し合いは平行線をたどり、市が嘆願書を受け取ることはなかった。

受理を拒否したことに対し、子育て支援課の担当者は「プロポーザルを公正公平に実施するにあたり、特定の施設の存続を嘆願しているものを受け取ることで、あらぬ疑念を抱かれかねない」とし、「決して市民の皆さまの声を軽んじているわけではない」と説明。

メンバーの田口美妃さん(37)は「市民の声を受け取らないという選択肢があることに衝撃を受けた」と市の対応に不信感を募らせ、「いまは心が疲れてしまったメンバーのフォローを優先したい。皆さんから頂いた署名なので私たちには届ける責任がある。今後どうするか未定だが、このまま終わるつもりはない」と話している。

今後のプロポーザルのスケジュールは、企画提案書提出の締め切りが10日、二次審査会は24日に実施される予定で、来年1月8日に審査結果が通知される予定となっている。

 

「声を受け取って」と訴えるメンバーら