ニタマ駅長が執行役員に 和歌山電鐵
和歌山電鐵㈱(和歌山県和歌山市伊太祈曽、小嶋光信社長)は23日、貴志川線貴志駅(紀の川市貴志川町神戸)のネコのマネージャー駅長「ニタマ」を執行役員ウルトラ駅長に任命した。民間企業で正式にネコが役員に抜擢されるのは、2010年の「たま駅長」以来、11年ぶりという。
ニタマは15年に貴志駅長に就任し、19年からマネージャー駅長を務めていた。この日、同駅で行われた辞令交付式で、小嶋社長からメダルや羽根付き帽子を受け取ったニタマは、時折ニャーニャーと鳴き声を上げながら、周囲の期待に応えているようだった。
ニタマの昇進後初となる業務は、ネコパンチならぬ「入鋏」。小嶋社長と一緒に、この日から販売を開始した硬券式往復普通乗車券に、肉球型の特注改札鋏で切れ込みを入れた。
週に1度ニタマに会いに同駅を訪れているという岩出市の湯浅美代さん(54)は、「ふわっとしながらも貫禄のある姿が魅力のニタマは、日々駅長らしく成長しているように感じる。今は観光客が減ってニタマやよんたまを独り占めできるのがうれしい半面、少し寂しくもあるので、早くコロナが終息してくれれば」と願っていた。
小嶋社長は「世界がコロナ禍で大変な今、少しでも明るい話題をという思い。猫の手だけでは足りないほど逼迫(ひっぱく)した状況だが、安心できる地方鉄道として残していけるよう、たま以来2度目の再生を目指したい」と話していた。