期待集まる「洋上風力発電」
前号では、湾岸エリアの魅力を発信する「みなとオアシス和歌山」を取り上げた。このエリアを俯瞰して撮影するため、和歌山市を南下した取材機は、海南市、有田市、有田川町の境に連なって建つ風車の姿を捉えた。和歌山県における風力発電の今と展望を紹介したい。
取材機の眼下に見えるのは、2009年12月に運転を開始したウインドファーム。合計10基が東西方向へ帯状に延びる形で建設されている。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公表する、2018年3月末時点での県内の風車の稼働数は約60基(単機出力10㌔㍗以上かつ総出力20㌔㍗以上の設備)。広川町、日高町、由良町、日高川町など、紀中エリアの海岸沿いや山間部での導入が進み、発電規模としては関西2府4県で最大であるという。
導入が進んできた陸上の風車であるが、景観や環境保全の課題をクリアし、地域住民の理解を得られる設置場所は限られ、大規模な発電所の計画を立てるのが困難となってきた今、海に風車を建てる「洋上風力発電」に期待が集まっている。
県内の海域(主に紀南エリア)における年間の平均風速は7㍍以上と、風況に恵まれた立地であることから、県はゾーニング実証事業を実施し、景観や環境、漁業や船舶の運航、市民生活への影響を調査するなど、研究が進められている。
県は県内消費電力に占める再生可能エネルギーの構成比率を、2026年度に25%とする目標を掲げ「再エネ先進県」を目指している。さまざまな課題をクリアし持続可能な社会づくりに貢献する風車の導入が進むことを期待したい。
(次田尚弘/有田川町上空)